Der Urlauber.-2-

Über das glückliche Leben(UGL)-Lion & Uwe -

 いつもに比べれば少し遅めのランチの用意を、自宅のキッチンと同じように置いた小さなテーブルに盛大に並べ、キャスター付きのスツールに座るウーヴェを丁重にテーブルへと案内したリオンは、ワイングラスとビールグラスをそれぞれ並べ、その横にウーヴェの好きなワインも並べるが、珍しいことに今はワインは飲まない、ビールだけで良いと言った為、目を瞬かせつつもビールの王冠をテーブルの端を使って開ける。
 「栓抜きがあるだろう?」
 「これで開くから良いじゃん」
 リオンの乱暴な王冠の開け方に苦笑しつつも注がれるビールをじっと見ていたウーヴェは、何かを確かめるようにスツールから降り立つと、テーブルの角を挟んで立つリオンに向けてテーブルで上体を支え左足を引きずりながら一歩を踏み出す。
 「どうした?」
 「・・・・・・ん、大丈夫、だ」
 リオンの問いに直接返事をせずに己に言い聞かせるように頷いたウーヴェは、じっと様子を見守っているリオンに気付き、肩を一つ竦めた後、もう一歩を踏み出してリオンにぶつかるように身を寄せる。
 「おっと」
 ビール瓶を慌ててテーブルに置き、それよりも何よりも大切なウーヴェを支える為に背中に腕を回したリオンは、いきなりなんだよーと、不満とも思っていない不満を口に出し、確かめたかったと囁かれてその頬にキスをする。
 「何を?」
 「・・・うん、歩けた」
 「そーだな」
 足の痛みは正直残っているが、それでもさっきと違いちゃんと歩いてお前の傍に行けたと笑うウーヴェにリオンの蒼い目が細められ、今度は額に労るようなキスをする。
 その行為、表情が新婚旅行先での仲直り時と同じだと思いだし、あぁと意味もなく珍しく嘆息したリオンは、小首を傾げて少し見上げてくるウーヴェをぎゅっと抱きしめ、ちゃんと歩けたかと囁くと、背中に回った手が縋る為ではなく支えることも出来ると教えるように動かされ、それが嬉しくて肩に額を押し当てる。
 「リオン?」
 「・・・昼メシ、食おう」
 お前の足が痛くても今までの様にちゃんと歩けた祝いと、二泊三日の超絶短期バカンスを満喫するための食事をしようと笑うと、ウーヴェも素直に頷いてリオンの髪を撫でる。
 「そうしようか。ランチを食べて・・・ウッドデッキで昼寝をしたいな」
 「あ、それ良いな」
 じゃあ直近の予定も決まったことだし、腹拵えをしようと笑って二人向かい合うのではなく自宅のように並んでテーブルに着く。
 目の前に並ぶパンやソーセージチーズにビール。
 平日のランチではないビールがあり、休日よりも豪勢なその料理の数々から、二泊三日の短いとはいえバカンスに来ている事を実感したリオンの顔にじわじわと笑みが浮かび、隣のウーヴェも釣られたように笑みを浮かべると、いつもと変わらない言葉で食事を始める。
 「どうぞ、召し上がれ」
 「ダンケ、オーヴェ!」
 Guten Appetitの挨拶はリオンが幼い頃から一度たりともしたことのない食前の祈りの代わりになったもので、今も二人でその言葉を交わし、ビールグラスを手に取ると、グラスの底を軽く触れ合わせて乾杯と笑みを浮かべる。
 「・・・ゼンメルに何を挟むんだ?」
 「んー、チーズとチーズとチーズ!」
 「チーズばかりじゃないか」
 「えー、だって美味いし好きだもん、良いだろ?」
 リオンに何が食べたいと聞けば肉とチーズとしか答えない事を分かっていてもついつい問いかけてしまうウーヴェがあからさまな溜息を零し、仕方がないと言いつつもゼンメルを二つに切り、片方にはスライスしたチーズを、もう一方にはレバーケーゼとトマトを載せ、焼くかどうかを確かめる。
 「そのまま食う」
 「分かった」
 リオンの前にたった今作ったゼンメルのサンドを差し出し、自分はあまり食欲がないからと肩を竦めつつも、カマンベールチーズとセミドライトマト、オリーブの実を皿に取り、隣で美味そうにサンドに齧り付くリオンを頬杖を着いて見守る。
 「食わねぇの?」
 「・・・お前が食べるのを見ていたい」
 本当に美味しそうに食べるのを見るのは気持ち良いと、リオンの口の端に付いたパン屑を摘まんでいつもの動作でその指を舐めたウーヴェだったが、だからその無意識の行動を何とかしろと溜息を吐かれて目を見張り、いつも言っているが何のことだと問い返すと、たった今お前がした事だと返されて瞬きを繰り返す。
 「ああ、パン屑を取った事か?」
 「取るのは良いの。その後だよ、その後」
 リアやアニキら悪友と一緒に飲んでいる時に同じ事をしているんじゃないだろうなと、何やら怨嗟を漂わせ始めたリオンの言葉にウーヴェの目が限界まで見開かれ、そんなことをするわけがないだろう、バカたれと目尻のほくろを赤くしながら口早に吐き捨て、カマンベールチーズを口に放り込むが、リオンが顔を寄せてきたかと思うと、ウーヴェの唇をぺろりと舐めたため、一瞬何をされたのかが分からない顔で右となりへと顔を向ける。
 「・・・カマンベールチーズも美味いよなぁ」
 ブルーチーズはあまり好きではないが、カマンベールは好きだと、ウーヴェの唇を舐めてその味を確かめたリオンが肩を揺らす横、真っ赤になったウーヴェがビールグラスを傾けて一気に飲み干す。
 キスと言うよりは犬や猫が舐めるように唇を舐められた事にも驚くが、赤面したことがさすがに恥ずかしく、何か仕返しの方法はないかとテーブルの上を見回すが手頃なものが見当たらなかったため、楽しげにサンドに齧り付くリオンの手を掴んで顔の前に引き寄せると、驚くリオンの前でそのサンドに齧り付く。
 「もー、食うなら作れよー」
 大口を開けてサンドに齧り付くウーヴェなどレアものの光景だが、サンドが減ることに関しては別問題だと口を曲げるリオンににやりと笑みを浮かべたウーヴェは、己の口の端に何かが付いている気がし、指ではなく舌でそれを取り除く。
 「・・・オーヴェ、後でさ、上のバスタブに湯を張ろうぜ」
 ウーヴェのその仕草を黙って見ていたリオンがにやりと笑みを深め、二階のメインのベッドルームにある半分ガラス張りのバスルームで酒を飲みながら風呂に入らないかと誘いかけると、一瞬ウーヴェのターコイズの双眸が見開かれるが、シャンパンを持ってくれば良かったと唇の両端を持ち上げる。
 その言葉と笑顔がリオンの希望を叶えるものだと気付き、感謝の言葉の代わりにウーヴェの口の端にまだ少し残っているチーズの欠片を舐め取るが、そこから先はまだダメだと教える様にウーヴェの手がリオンの口を覆い隠す。
 「ぶっ!」
 「ランチを食べてウッドデッキで昼寝をしてから、だな」
 「そんなことしてりゃあ日が暮れるだろー」
 「暮れても問題ないだろう?」
 夜になってしまうだろうと不満を訴えるリオンに、こんなにも陽の高い内から抱き合うのは抵抗があると、流石にウーヴェが微苦笑しつつリオンに理解してくれと下手に出るが、一度火が付いたリオンを宥めるのはなかなかに骨の折れる作業だと知っている為か、青い石のピアスが鎮座する耳朶に口を寄せ、今夜はお前の好きにして良いから今は堪えてくれと囁く。
 「────約束、だぜ」
 「ああ」
 ウソは言わないと、密かにウーヴェ自身も期待していることを匂わせる笑みでリオンの頬にキスをし、今はこれを食べよう、そしてウッドデッキで望み通り昼寝をしようと笑い、リオンの顔にも同じ表情を浮かべさせるのだった。

 

 ベッドが軋む音が聞こえ、身体が僅かに傾いで瞼もついでに持ち上がってしまい、眠さにぼやける視界で原因を探ろうとしたウーヴェは、起こしてしまったと小さく詫びる声とキスを頬に受け、目を瞬かせて脳味噌も目覚めさせる。
 背後から頬にキスをしベッドに潜り込んでくるリオンを全身で確かめたウーヴェだったが、今何時だと呟いてぼやける意識をハッキリとさせようとするが、意識がクリアになる前、背中に覆い被さってきたリオンがまだ夜中だから安心しろと笑った為、夜中かと呟き、寝返りを打とうとするが、その瞬間、寝る寸前まで何をしていたのかを思い出せという様な痛みが下半身に芽生えて顔を顰める。
 「────っ!!」
 「・・・大丈夫か?」
 「大丈夫じゃない・・・!」
 お前がもう無理だと言うのにしつこく抱き続けるからだろうと、そろりと寝返りを打ち、何とも言えない顔でウーヴェの頬を撫でようと手をあげるリオンを睨みつける。
 「やー、だってさ、さっきのオーヴェ、すげー積極的だったし。あんな顔見せられたら頑張ってしまうって」
 それに、ランチを食べている時に好きな様にして良いと言ったのはお前だと、頬を撫でられた後に鼻を撮まれて目を丸くしたウーヴェだったが、良かったかと耳元に顔を寄せて囁かれ、瞬間的に顔を赤らめてしまう。
 確かにリオンが言う様に好きにして良いとは言ったが、失神するまで抱いて良いとは一言も言っていなかったし、いつ買っていつ車に積んだのかも分からない所謂大人のオモチャをここで使われるなど想像外のことだった。
 その想像外のことがいくつか重なった結果、リオンが今最上級の幸せの中にいると言いたげな顔でウーヴェにキスの雨を降らせるほど積極的になってしまい–ウーヴェ曰く強制的になってしまった–挙句に失神すると言う、穴があれば入ってしまいたいほどの羞恥を感じる羽目になってしまったのだ。
 それもこれも全てお前のせいだとリオンを睨めつけたウーヴェは、宥める様なキスを額に受け、次いで鼻の頭、頬の高い場所、口の端に順に受け、それがこちらに来る車内で指先が辿った場所だと気付き、悔しさを晴らすために己の頭の下で枕の役目を果たしている腕を抜き取って手を掴むと、目を丸くするリオンの顔の前で薬指の爪に軽く歯を立てる。
 「・・・いて」
 「うるさい」
 こんなもの痛くも痒くも無いだろうと更にリオンを睨んだウーヴェは、歯と歯の間の指が小さく身動いだのが意外と楽しくて今度は少し強めに爪を噛むと更に指が揺れるが、ちらりと上目遣いに見たリオンの顔が心底楽しそうに、夜への扉が早く開くことを期待している笑みを浮かべ、その顔を見たウーヴェの腹の底、解消したはずの欲が頭を擡げてしまう。
 さっきは人を失神するまで抱くなと睨んだが、心から拒否すればリオンはウーヴェに無理強いをしないことは良く分かっていることだった。
 口では文句を垂れ流すウーヴェにその兆候が見られないことからリオン曰くの頑張りを見せられたのだと気付き、失神するまで抱き合いたかったのは己だったのではと改めて気付くと羞恥に顔を隠したくなるが、再度上目遣いで見つめたリオンの顔がこうしていられることが本当に嬉しいと教えてくれる様な表情だった為、噛んでいた爪を謝罪の代わりに一つ舐めた後、くすんだ金髪を両手で抱き締め、昼は痛みを訴えていた左足を何とか持ち上げてリオンの足に絡める。
 「────する?」
 「・・・するとか、言うな」
 「はいはい」
 リオンの直裁的な言葉にウーヴェがいつもの様に羞恥からその言葉を打ち消す様に呟くが、宥める顔で煽るキスを繰り返し受けながらくすんだ金髪を抱き締めた手を肩のラインを辿って背中に移動させ、抱きしめる形になっている肩甲骨を撫で上げる。
 「・・・オーヴェ、さっきの使って良いか?」
 「・・・っ!だ、めだ・・・!」
 キスの合間に囁かれる言葉に一瞬にして現実に立ち戻りかけたウーヴェだったが、まあまあそんなことをいうな、お前も気持ち良さそうだったしと笑われ、ウーヴェが反論しようと口を開いた時、腹が立つぐらい器用に動く手がウーヴェのモノを撫で、その根本でもぞもぞと動いた後、もう使ったからと朗らかに言い放たれて絶句してしまう。
 「リオン・・・っ!」
 「大丈夫だって────オーヴェ、手貸して」
 己のモノにリオンが何をしたのかを察し、根本でヒンヤリとした熱を放つリングの存在が失神するまでの己の嬌態を思い出せと囁く様で、目尻を赤くしたウーヴェにリオンが悪意のない顔で笑いかけてウーヴェの右手を掴むと、その手の甲と薬指に芝居がかったキスを繰り返す。
 「朝飯さ、前に行った修道院で食おうか」
 「・・・ビール」
 「ビールだけで良いのか?ワインも美味かったから飲めよ」
 リンゴのタルトは残念ながら無かったが、季節のフルーツを使ったタルトも美味しかったからそれも食べようと、ウーヴェをひたすら甘やかす様な事をキス交じりに囁き、渋々ながら頷かれたリオンは、明日の予定も決まった、だからこれからはもう一度俺の好きにさせてもらうと宣言し、もはや抵抗する事を諦めたウーヴェの気持ちを同じ場所に引きずりあげる為、濡れた音をさせながら何度もキスをするのだった。

 

 

 リオンのキスを受け、多分同じ場所に気持ちが上がった自覚を持ったウーヴェだったが、さっきのように気絶するまで抱かれる前にやっておきたい事があるのを思い出し、首筋にキスをするリオンの左腰に手を這わせる。
 ほんの少し指先に感じる異質さは、ウーヴェの右腰にも存在するもので、まるで鏡に映したかの様に二人の左右の腰に同じデザインのタトゥーが彫られていた。
 ウーヴェのリザードが形を変えて戻ってきたのは、傷口を覆い隠すという新たな使命を果たす為と二度と何処にも行かないという意志の表れだったが、リオンの左腰に鎮座するウーヴェのリザードと双子ながら瞳の色だけが違うそれは、互いのリザード、ひいてはその宿主であるリオンとウーヴェに、自分たちは一人ではない事、ここにこうして同じ思いを持って存在する魂の片割れがいる事の証明の為に存在していた。
 リオンが腰にタトゥーを彫った事をウーヴェが知った時、ただ黙って抱きしめてそれを受け入れ、一人じゃない事の証明だと笑ったのだが、その時と同じに掌でリザードを撫でたウーヴェの耳に、くすぐったいという微かな笑い声が流れ込み、同じ小さな笑みを返しながらもう一度タトゥーを撫でたウーヴェは、リオンに仰向けになってくれと囁き、理由は分からないが従ってくれる伴侶に小さな音を立ててキスをした後、ヘソの真上とヘソの穴の双方でキラリと光るボディピアスにそっとキスをする。
 「────まだキスしてなかったか?」
 「ああ」
 お前が毎晩俺の傷跡にキスをしてくれる様に、あの時約束したお前の傷へのキスをしていなかったとウーヴェが上目遣いでリオンを見つめると、傷の舐め合いだって言ったけど、それも悪くないなとリオンが若干照れた様に笑う。
 リオンの傷をどうにかして塞ぎたい、少しでもマシになる様にしたいと願ったウーヴェがしたのは、リオンがいつもしてくれているのと同じ様にその傷にキスをする事だった。
 傷の舐め合いはお互いの為になるのかと友人に言われ、傷を舐め合う事でお互いにまた肩を並べて歩いて行けるのならいくらでも舐め合う、悪い事じゃないと友人とリオンに伝えた事があったが、リオンの傷を体現している様なヘソのボディピアスと左腰のタトゥーに今夜もまたキスをしたウーヴェは、リオンが起き上がろうとしていることに気付き、腕を掴んで軽く引っ張るが、そのまま逆にベッドに背中から押し倒されて目を丸くする。
 「こらっ!」
 「オーヴェのキスが気持ちよかったから、お返ししてやる」
 その言葉にウーヴェが一瞬息を飲むが、リオンの手がリングを再び嵌められたウーヴェのものに添えられた後、強弱をつけて握られて軽く唇を噛む。
 さっきはこのリングのせいで長々と快感に溺れ、他に持って来ていたバイブなどで失神してしまうほど快楽の底に沈んでしまったのだが、またあの脳味噌が熱で溶けだしそうな快感に溺れてしまうのかと考えると、ゾッとすると同時に言葉にできないゾクリとしたものが背筋を伝ってウーヴェの脳味噌に到達する。
 それがリオンにも伝わった様で、ニヤリと笑みを浮かべたリオンがウーヴェの緩く勃った乳首にキスをし、ウーヴェの肩がピクリと跳ねる。
 「オーヴェ、手と口だったらどっちが良い?」
 選ばせてやると乳首を舐められながらの問いに咄嗟に口がどうしたと頭をもたげたウーヴェだったが、リオンの返事は言葉ではなく今まで手の中で弄ぶ様にしていたそれをいきなり咥える事で返ってきた為、枕に後頭部を埋めてしまう。
 「あ・・・っ!!」
 さっきまでの感覚と新たな快感がそこから生まれ全身へと伝播し、ウーヴェの思考回路が熱でショートしそうな程の時間、リオンがわざと音を立てたり先を舌先で突いたりと、己に出来る限りの事でウーヴェの快感を引き出し、快楽の海の底に沈めさせようとするが、そろそろ口が疲れたと微苦笑しつつ伸び上がってウーヴェを見れば、いつも以上に敏感になっているのか、腕で覆い隠している目元や顔が真っ赤で、ついつい口笛を吹いてしまう。
 名を呼びつつ腕を掴んで赤く染まる顔を見下ろしたリオンは、ターコイズ色の双眸が未だ嘗て見たことが無いほど欲に蕩けている事に気付き、その顔反則と呟いて頬にキスをすると、それでも素直になるつもりがないのか、リオンの尻尾と呼んでいる髪をウーヴェの手が無意識の様に握って軽く引っ張る。
 「いて」
 「・・・る、さ・・・い」
 毎度毎度のうるさいの言葉も快感と欲から舌足らずになっていて、こんな顔を見ることが出来るのは己だけだという独占欲と本当に誰にも見せていないのかという疑問が脳内で湧き上がるが、尻尾を掴んだ手がくすぐったさを感じるほどの触れるか触れないかの動きで肩を撫で背骨をたどって腰の窪みに辿り着いた後、本当の目的地を教える様に左腰で動きを止める。
 どれほど快感に溺れようが脳味噌が熱でショートしかけていようが、絶対に忘れることのないそれにリオンの蒼い目が見開かれ、熱を帯びて潤む双眸に見上げられて息を飲む。
 「────リーオ」
 その、知り合ってからもうどのくらいかと振り返れる様になった出会い、友人以上恋人未満を通り越して付き合い出してから暫くし、ウーヴェだけが呼ぶ様になった呼び方をされたリオンは、さっきの疑問が一瞬で霧散し、あぁ、愛してると脳味噌が叫び、その声に肩がびくりと揺れてしまう。
 「・・・どうした?」
 リオンの様子が少しだけ変化をした事にウーヴェが目ざとく気付き、顔を覆っていた手をリオンの頬に充てがうと、オーヴェ大好き愛してると朗らかに言い放たれて一瞬驚いてしまうが、俺も同じだと言葉で伝える代わりに頭を持ち上げてリオンの満足そうに持ち上がっている唇に口付ける。
 「・・・このまま、良いか?」
 お前の快感を強く引き出すためのリングをつけたままだが、良いかと低く問いかけたリオンの腰に軽く抓られた痛みがあり、それを了承の返事と受け取ったリオンがオスの顔でウーヴェに噛みつく様なキスをし、同時に両足を抱え上げて尻を上げると、一気に中に押し込んで腰を押し付ける。
 「────あ・・・、っんぅ・・・っ、あ・・・!」
 リオンのいつも以上に熱く大きく感じるそれにウーヴェが顎を上げて震える息を吐いて不意に襲ってきた強い快感をやり過ごそうとするが、何度も奥を突かれて体が自然と震え、一番敏感になる箇所を擦られて一際高い声が出てしまう。
 「・・・んっ────ぁあ!」
 アダルト映画や動画に出演しているポルノ俳優の様な声を己が出すなど、リオンと付き合うまでは考えたことなどなかった為に羞恥を覚えるが、それを出す間も無くリオンがいつも以上にウーヴェの体が跳ねる場所ばかりを突き上げ、擦ってくる。
 その度に抑えきれない声が上がり、最後の抵抗の様に手で口を覆い隠そうとするものの、ウーヴェの嬌声を聞きたいリオンがその手をシーツに押し付けてしまう。
 「・・っ、ん、っ・・・・・・」
 腰をぶつけられ揺さぶられ腹の底から生まれる快感と熱を伴って全身へと伝播し、ウーヴェの口から熱い吐息と意味のない音の羅列となってそれらが出てくるのを満足そうな顔で見下ろしたリオンは、いつもは大人しめに快楽を享受するウーヴェがここまで全開に乱れることなど滅多にない為、ついつい煽られてしまったように腰をぶつけると、ウーヴェの白とも銀ともつかない髪が枕の上でサラサラと音を立てる。
 ウーヴェの口から流れる声をもっと聞きたい、その一心で足を抱え直し、悲鳴じみた声が上がる箇所を突くと、予想通りにウーヴェの口から悲鳴混じりの制止の声が流れ出す。
 もう無理だ、やめてくれ、おかしくなる。
 その言葉に自然と笑みを深め、大丈夫だ、おかしくなんかならない、もしなったとしても全ての責任は俺が持つと囁くと、涙と熱で潤んだターコイズの双眸がそれでも睨んできて、ああ、この気の強さがやはり好きだと、閉じることができなくなっている口を塞ぐようにキスをしたリオンは、ウーヴェの口内でも好き勝手に舌を動かし、逃げるような舌に舌を絡め、意識を口内に向けさせながらウーヴェのリングを嵌め勃ったまま放っておいたそれを掌で刺激すると、リオンの舌を口内から押し出す様に顔が振られ、思わず口を塞ぎたくなるような嬌声が飛び出す。
 「あぁああ・・・・・・っ!!」
 嫌だ、無理だ、苦しいと嬌声の合間に本音を零し、きつい刺激を与えてくるリオンの手を咄嗟に掴もうとしたウーヴェだったが、突き上げられて顎が跳ね上がり、リオンの手ではなくシーツを握りしめる。
 「リ、オン・・・・・・っ!リーオ・・・っ、も、ぅ、ムリ、だ、・・・っあ・・・!」
 「ムリ・・・?まだイケる、だろ」
 「────っ!!」
 もう無理だからと恥も何もかもをかなぐり捨てて懇願するウーヴェにキスをしつつまだ大丈夫だと笑ったリオンは、ウーヴェの足を三度抱え直してぐっと伸び上がるように腰を押し付けると、ウーヴェの胸が大きく上下し、高い声が途切れずに長く流れ出す。
 ウーヴェに覆い被さったリオンとウーヴェの腹の間、リングを嵌められていつも以上に快感を得ているモノが動きに合わせて揺れ、それに気付いたリオンがウーヴェの口を封じるように再びキスをし、身体でも動きを封じるように抑えこむと、片手を腹の前に差し入れ、放置したままのそれに詫びるように手を上下させると、ウーヴェの身体が痙攣を起こしたように揺れ、リオンと重なった口の間からくぐもった声が流れ出す。
 もう無理だと限界を訴えていたウーヴェの目尻に涙が一筋流れ、体の痙攣だけではなくリオンがずっと中にいて突き上げ擦っているものに内壁がまとわりつく感じが変化した為、ウーヴェのものから手を離して両手できつい快感に眉を寄せて珍しく生理的な涙を流すウーヴェの顔を囲うように手をつき、今までとは違う優しいキスを繰り返す。
 「・・・オーヴェ、もう、無理か?」
 「・・・む、りだ・・・っ・・・言って、・・・っ!」
 「ん、分かった」
 じゃあ後少しだけ我慢してくれと、涙まじりの声で呟くウーヴェの頬にキスをし、目尻からこめかみへと流れ落ちる涙にもキスをしたリオンは、やりすぎたかも知れないと一瞬だけひやりとした気持ちになるが、見下ろしたウーヴェの手がノロノロと上がったかと思うと、リオンの首筋の後ろで両腕が交差し、緩く抱きしめられて目を見張ってしまう。
 やりすぎたとしてもそれを許してくれる、この懐の深さには膝を折って頭を下げたくなるほどだったが、それでも愛してくれていることを実感し、キスで感謝の気持ちを伝えたリオンは、先程までとは少し違う気持ちでウーヴェの中を刺激し、途切れ途切れの快感の声を引き出して行く。
 ウーヴェの文字通りの限界が見え出した頃、リオンの手が再度ウーヴェのものに伸ばされ、根元に嵌めていたリングの留め具を器用に外し、ずっと戒めていたそれを取り外せば、ウーヴェの身体が一瞬で粟立ち背中が丸められ、つま先に力が込められる。
 「────あ・・・、あっぁあ・・・あ」
 根元を縛り付けていたリングが外れた開放感と一番身体が跳ねる箇所を突彼た途端、ウーヴェが放心状態で短く声をあげ、それに合わせたようにポタポタとウーヴェの腹に白い熱が吐き出される。
 「オーヴェ、もう少しだけ頑張ってくれ」
 熱を吐き出し身体が最も敏感になっているから辛いだろうが、もう少しだけ付き合ってくれと、ぼんやりと天井を見上げるウーヴェに切羽詰まった顔で囁いたリオンは、それでもまだ首の後ろで交差している腕に力が入り、先を許してくれたことに気付くと、何も考えずにただ腰をぶつけ、ウーヴェの中に熱を吐き出すのだった。
「あー────・・・、んっ、ぅ・・・!」
リオンが満足そうに淡い吐息を一つ落として中から抜け出しウーヴェに覆い被さると、その背中にウーヴェの手がそろりと移動し、同じように汗ばむ背中を優しく抱きしめるが、お互い眠りに落ちる寸前のぼんやりとした世界でも決して忘れないのは、覆い被さったリオンの重さと背中を抱きしめてくれるウーヴェの手の優しさだけで、それを感じながらもどちらも力尽きたようにそのまま眠ってしまうのだった。

 

 

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2019.09.04
何やら久しぶりに仲良しを書いたのですが、恥ずかしいので逃げます(脱兎)


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