ganzer Stolz.-1-

Über das glückliche Leben(UGL) -Lion & Uwe -

 いつになれば春の暖かさを感じられるのかと、真冬の重苦しさに飽き飽きしている人たちが春を望む声を小さく上げている2月の初め、小高い丘に立つ高級アパートの最上階にある広い家の広いリビングの暖炉の前からも不満たらたらの声が上がっていた。
 ただ、その不満の趣旨は春を待ちわびるものではなく、食べたい菓子を禁止されたことへの不満だった。
 本能の一つである食欲に直結していることからか、その不満の声は大きく根深いもので、不満をぶつけられている方はそろそろそれに対して辟易してきてもいた。
 だからではないが、膝の上の雑誌をそっと閉じて深く溜息を吐き、不満を訴える世にも珍しいブランケットの塊へと目を向けた彼、ウーヴェは、まだ文句を言っているのかと溜息混じりに呟くと、そのブランケットの塊が方向転換をしたようで、影の奥から青い瞳が恨めしげに睨んでくる。
 「・・・・・・・チョコ、食いてぇ」
 「食事前に一枚食べたんじゃないのか?ん?」
 食事前にお菓子を食べないことは結婚前に決めた約束の一つだろうと、前髪を掻き上げつつ呟けば、腹が減っていたのだから仕方が無い、チョコを食べても食事もしっかりと食べるのだから問題ないはずだと、昨今の時流である健康的な生活を送るものからすれば目を剥いてしまうようなことをぶつぶつと垂れ流されてしまえば、いくら永遠の愛を誓い合った相手であっても呆れてしまうと心の内で呟くウーヴェに、コンフォーターに包まったまま不満を訴えたリオンは、子どもみたいに拗ねていないで大人ならば大人らしい態度を取れと一括されて勢いよく起き上がり、胡座をかいて不満を訴えるときの常として足首を掴みながら体を前後に揺さぶる。
 「チョコが食いてぇ!」
 「駄目なものはだめだ」
 「オーヴェのケチ!」
 ウーヴェの厳しい態度に子供じみた声で反論したリオンは、毎日毎日食べている訳では無いのだから良いだろう、たまに食べたくなるんだから良いだろうと反論を重ねるが、こんな時でもきれいに光るターコイズ色の瞳に睨まれて上目遣いになる。
 「好きなときに好きなものを食えるようになったんだからさぁ、食っても良いだろ?」
 「食べても良いが、食べ過ぎは良くないと言っているんだ」
 「むー」
 食べたいと言う欲求に勝てないリオンに呆れつつも、そろそろ本格的に拗ねられるとうっとうしいことこの上ないと言う事情から許そうかと心が傾いた時、リオンがコンフォーターを放り投げてソファベッドに背中から倒れ込む。
 「リーオ?」
 「・・・・・・チョコは諦めた。諦める」
 だからキスしてくれと叫ばれて目を丸くしたウーヴェだったが、言葉の意味を理解した瞬間、呆れとある種の感心から来る溜息を零し、ソファで大の字になって開き直って拗ねているリオンの身体を跨ぐように見下ろすと、蒼い瞳が不機嫌さよりも楽しさに光り輝いているのを発見する。
 「・・・・・・キスして、オーヴェ」
 「まったく。悪戯っ子には罰を与えなければな」
 「へへ。お手柔らかにお願いします、陛下」
 今まで拗ねていた態度が実はキスを強請るものだったのではと言う疑問も芽生えてくるが、それならばそれで構わないとの思いも同時に芽生えてくる。
 その悪戯っ子の望み通りにキスをすると不満の代わりに満足が現れ、蒼い瞳が楽しげに細められる。
 「これでいいか?」
 「んー、もっと」
 「・・・・・・」
 子どもがお代わりを強請るような素直さに呆れかえるが、やはりまたそれも己の恋人らしい顔だとの思いが強く感じるが、甘い顔ばかり見せないことを教えるように額をぺちりと叩くと驚いた様に目を見張る。
 「痛ぇなぁ」
 「大げさだな」
 たった今叩いた額にキスをするとまた不満が消え、本格的に機嫌を直したのか、掛け声一つ放って起き上がると、その勢いのままウーヴェに抱きついて満足そうに溜息を一つ。
 「満足したか?」
 「一応したかな?」
 なんだそれはとリオンのくすんだ金髪を軽く引っ張りつつ笑ったウーヴェにリオンも笑い、今日はそろそろ寝るかと伸びをして立ち上がり、ウーヴェもゆっくりと立ち上がると、ごく自然にリオンが伸びをした手で今度はウーヴェの手を取って己の腕に回させる。
 ウーヴェが足を痛めてからはごく自然と行われる動作だったが、今ではウーヴェもすっかりそれに慣れて、当初感じていた躊躇いを打ち消して頼るようになっていた。
 ただ、それに甘えきってしまうことは出来ず、またそれが当たり前だとはどうしても思えないウーヴェは、その度に礼を言っていたが、その気持ちに気付いているのかいないのか、リオンは気にすることは無いといつも言い放ち、今日もまた気にしなくて良いのにーと暢気に笑っているのだった。

 リオンが不満を訴えていた夜から数日後、自身は休みだがウーヴェが仕事だった為、仕事が終わるまではホームにいることを伝えていたリオンは、その言葉通りに育ての親がいる孤児院に顔を出していた。
 小さな教会が運営する小さな孤児院はリオンがいた頃とほとんど変わりは無く、常に5人前後の子供達がいた。
 リオンはこの孤児院に顔を出すときにはいつも子供達が喜ぶお菓子などを持って来ていたが、今日はお気に入りのドーナツ屋で買って来たドーナツを笑顔で手渡した。
 「いつもありがとう、リオン」
 「あいつらに食わせてやってくれよ、マザー」
 生後間もないリオンを教会で発見し、それ以後何があってもリオンが何をしても見捨てること無く慈愛の目で見守り続けてくれているマザー・カタリーナの礼に自慢げに笑みを浮かべたリオンは、今日はウーヴェが仕事だから昼までここにいると伸びをする。
 「では少し手伝ってくれますか、リオン」
 「えー、まーたバザーの準備かよ」
 「ええ。週末にバザーをするのですが、値札をまだ付けていないのです」
 教会が運営する恒例のバザーが週末にあるのだが、そのバザーに出す商品の準備を手伝って欲しいと頼まれたリオンは、幼い頃からその手伝いが嫌で仕方が無かったことを思い出し、成長した今ならば当時は理解することの出来なかった事情も理解出来るようになったため、口では文句を言いつつもマザー・カタリーナや他のシスターらの指示に従っててきぱきと動き出す。
 小さな教会が運営する孤児院は、歴史的にも知名度があり有名な教会や人を呼ぶ目玉となる文物がある教会に比べれば常に資金難で、その活動に理解を示し支援してくれる人たちの協力がなければ子ども達が食べるものや明日着る服などがなくなりそうなほどで、幼い頃からリオンが常に抱き続けていた飢餓感はそれを由来としていた。
 満足するまで好きな菓子や料理を食べたい、デートをする時にはおしゃれな服を着たいと言う欲求が強くあったが、リオン一人だけにお金を掛けられるはずもなく、常に満たされない心で生きてきたのだ。
 その長年の飢餓感は誰を、何を持ってしても満たせるものでもなかったが、ウーヴェと出逢ってからは、乾ききった大地に一滴ずつ水がしみこんでいくようにそれが薄れていき、今では心が疲弊しているとき以外には感じられなくなっていた。
 だから今は己の弟や妹のような子ども達が少しでもそんな思いをしなくてもすむようにとの思いから、遊びに来るときには絶対に手ぶらで来ることはないし、纏まった金が入ったときにはウーヴェの了承と賛同を得て寄付しているのだ。
 ただ、リオンが己の収入から幾許かの寄付をしている事実は伏せられているために、シスターらでもそれを知っている人は少なかった。
 「そうそう。リオン、この間あなたが持ってきてくれたビスケットですが、子ども達に評判が良くてすぐになくなってしまいました」
 子ども達が笑顔でビスケットをほおばる姿は見ているこちらも微笑ましくなるものだったと、マザー・カタリーナが手を止めて笑みを浮かべるが、リオンはと言えば値札付けに悪戦苦闘しているからか、あいつらが喜んでくれたのならそれでいい、マザーは食ったのかと素っ気なく問い返すだけだった。
 「ええ、少しいただきました」
 「そっか。気に入ったのならまた買ってくる」
 さほど高いものでもないし、味が好きになったのなら次に来るときに持ってくると、この時ようやく顔を上げて頷くリオンの顔にいつものような笑みは浮かんでいなかったが、それがリオン本来の顔であることをウーヴェにこっそりと教えられたマザー・カタリーナは、都合が悪くなければと返して全然問題ねぇと断言されて頷く。
 「いつもありがとうございます、リオン」
 「・・・良いって」
 そんな無駄口叩く暇があれば手を動かせと、マザー・カタリーナに横柄な口を叩ける人間がいることに周囲が驚くが、本人達にとっては全く気にすることでもないため、彼女も手を止めていたことを詫びて作業に取りかかる。
 皆が集まる部屋で作業をしている時、教会の敷地外だが限りなく近くの路上から悲鳴が聞こえ、皆が一斉に手を止めて窓の外へと顔を向ける。
 「何だ?」
 この教会がある地区はスラムとは呼ばれていないが、観光客が間違っても足を踏み入れないような危険な地区と紹介されることがままあった。だからといって日中に突然悲鳴が響き渡れば誰もが何事だと驚いてしまい、マザー・カタリーナが事情を確かめようと窓を開けるが、そんな彼女の背後に立ったリオンが彼女の肩を掴んで背後に押しやると、呆然と見つめて来る育ての母に片目を閉じる。
 「マザーはここにいろよ」
 外の様子は自分たちが見てくると笑うリオンの顔はケンカを楽しむ子どもの顔で、小さく溜息をついたマザー・カタリーナがリオンの言葉に頷いて立ち上がるブラザー・アーベルに向けて手を組んで短く祈り、気をつけて下さいと言葉に出して思いを伝える。
 「大丈夫だって」
 ただ、何があるか分からないから出来れば窓から離れていろと、室内にいる者に命じたリオンは、ブラザー・アーベルと肩を並べて出て行き、すぐに戻って来たかと思うと、何かと世話になっている隣の藪医者-とリオンは呼んでいるが、実際医者としての腕前や人気は高く、しかも無報酬で診療をしている-と警察を呼べと伝える為に大股にマザー・カタリーナらに近寄る。
 「どうしたのです?」
 「・・・・・・ローザのヤツ、まだあんなDV男と付き合ってんのか?」
 リオンが嫌悪感丸出しで吐き捨てた言葉にマザー・カタリーナが目を瞠り、悲鳴の主が誰であるのかを知ると、短く祈りを捧げた後、リオンの横を通り抜けて出て行こうとする。
 「マザー?」
 「ローザを保護しなければ危険です」
 「そりゃそうだけどさ、今出て行くのはもっと危険だぜ、マザー」
 もう少し落ち着いてからにした方が良いと、彼女の腕を掴んで引き留めようとするが、リオンを生後間もない頃からずっと見守り慈しみ続けてきた母の行動はその腕と言葉で止められるようなものでもなかった。
 「リオン、今一番危険なのはローザです。彼女を放っておく訳にはいきません」
 身の危険を顧みずに人を助けるその心は立派だし、その心があるからこそ彼女はいつしかマザーと称されるようになっていたのだが、リオンにとってマザー・カタリーナは母以上に母であったし、何よりも危険な目に遭って欲しくなかった。
 だから、静かに危険な場所に向かう彼女の横に並び、何かあったときには己が盾になって彼女を護ろうと腹を括る。
 「・・・・・・まったく。マザーのそんな所、ホントに変わんねぇなぁ」
 感心しながら彼女に従う様に元来た道を歩くリオンの視線の先、長い髪を振り乱した女性が真冬だというのにキャミソール姿で石畳の上で身体を丸めていた。
 「ローザ、大丈夫ですか?」
 そんな彼女の傍に駆け寄ったマザー・カタリーナは、周囲にリオンが言うDV男の姿が無いことを確かめると、彼女の身体に手を添えて立ち上がらせる。
 「中に入りましょう」
 そのような姿では風邪を引いてしまいますと、俯き嗚咽を漏らす彼女の手を取って一緒に歩き出そうとするが、自分たちの頭上に陰が落ちた事に気付いて顔を上げ、咄嗟に彼女を己の背後に庇ってしまう。
 「そいつをどこに連れて行こうってんだ?」
 「・・・・・・落ち着いて話をしましょう。その為に教会に連れて行くだけです」
 血走った目で見下ろしてくる男に危険を感じつつも一歩も怯まずに顔を上げてその目を見つめ返したマザー・カタリーナは、あなたも一緒にどうぞと促すが、男に到底それが通じるはずも無く、ふざけるなと怒鳴られてびくりと肩を揺らす。
 「話し合いなら二人っきりでする。だからその女を返せ」
 「・・・・・・い、や・・・」
 今この男と二人になれば己の命が危険だと理解しているのか、ローザがマザー・カタリーナのシスター服の袖をぎゅっと掴んで身を寄せる。
 「こっちに来いって言ってるんだ」
 「いやよ!」
 男が声を荒げたため、それに対抗するようにローザも声を張り上げるが、その声に遠くからやってくるパトカーのサイレンが重なり、シスターが呼びに行ったらしい隣の藪医者-通称ドク-が慌てふためきながら駆け寄ってくる。
 周囲から人が集まってくれば暴挙に出ることは出来ないだろう、そんな思いからマザー・カタリーナは、冷静になって話し合いましょうともう一度語りかけるが、今度は己の背後と前から否定の声が上がってしまう。
 「何でも良いからそいつを離せ!」
 「落ち着いて話が出来ないのならば離せません」
 男の恫喝にもまったく怯むこと無く毅然と顔を上げるマザー・カタリーナをすぐ傍で見守っていたリオンは、本当に立派だがその立派な態度も命あっての物種だと熟知している顔で舌打ちをする。
 「マザー、コイツと話し合いなんて無理だって」
 だから今はローザを早く中に連れて行こうと促すと、男の血走った目が彼女たちからリオンへと向けられ、さらにその背後で不安そうに様子を見守っていたブラザー・アーベルへと向けられる。
 「こいつらがいるから離れたくないんだな?」
 男が己の彼女に暴力を振るう理由が行き過ぎた嫉妬であると、その言葉と目だけでは無く顔まで赤くしたことから気付き、これはマズイと思う反面、マザー・カタリーナらから危険は去ったのでは無いかとの思いから頷いて腕を組む。
 背後からはパトカーのサイレンが近づいてくる音が響き、男が腕力にものを言わせたとしても制服警官やドクらが何とかしてくれるだろうとの勝算を脳内で弾き出したリオンは、とにかくマザー・カタリーナとローザの二人を教会の中に避難させたい一心で男を睨み付ける。
 「落ち着けって言ってるだけだ」
 「うるせぇ」
 リオンの言葉に男が聞く耳を持たない顔で怒鳴り、今のうちに建物内に入ろうとしているマザー・カタリーナらの姿に気付くと、そちらに向けて足を踏み出そうとしたため、内心慌てつつも表面上は陽気な笑みを浮かべたリオンがタバコに火を付けて煙を吐き出す。
 「ヘイ、DV男」
 「何だと・・・・・・?」
 「女に暴力を振るうなんて最低だと思わねぇか?」
 自分よりも肉体的精神的にも弱い女性に暴力を振るって誰に勇を誇るつもりだと、ウーヴェが言いそうなことを苦笑交じりに告げたリオンは、その言葉が己にとっても意外だったのか、オーヴェの受け売りだなと苦笑を深めるが、不意に鼻先を掠めた暴風に慌てて身を引く。
 「あぶねー」
 「うるせぇ!」
 弱い者にしか暴力を振るえない情けない男と手厳しく批判されてしまい、瞬間湯沸かし器のように真っ赤になった男は、リオン目がけて拳を突き出すが、喧嘩に関して言えば今ここにいる誰よりも場数を踏んでいるリオンにそれが通じるはずがなく、突きだした拳を手で叩かれて前につんのめった男は、くるりと身体の向きを変えたリオンが何をするのかが分からなかったが、己の肘に激痛が走ったことからさらに身体を前のめりにしてしまう。
 職業柄護身術の訓練は欠かさず行っているためか、こうした暴力に対して己の身を守る術をリオンは持っていた。
 だが、さすがにいくら護身術を操れるとしても殴られることはあるようで、男が身体を跳ね上げた為背後に蹌踉めいてしまい、そのまま突き出された拳を顔に受けてしまう。
 「ぁだっ!」
 久しぶりに殴られた実感に浸る暇も無く次々と繰り出されるパンチを躱し、咥えていたタバコを路上に吐き捨てたリオンは、ついでに血が混じった唾も吐き出し、口の端から流れる血を指先で拭う。
 「痛ぇじゃねぇか」
 「うるせぇ!ローザを出しやがれ!」
 「ローザを返して欲しけりゃ頭を冷やせって言ってるんだよ!」
 男のパンチをしゃがんで躱すと同時に男の膝側面に蹴りを決めると、男が苦痛の声を上げてしゃがみ込む。
 以前のリオンならばここで一気に畳み掛けて男を再起不能かその一歩手前にまで追いやるのだが、その時リオンの脳裏に優しくも悲しい声が響き、男を追い詰める手を止めさせてしまう。
 そこまで痛めつける必要があるのか、暴力では何も解決しない、そうならないために司法が警察がいるのだとその声はリオンを諭し、拳から力を奪っていく。
 これでいいかと脳内で響く声に問いかけ、今までこんな中途半端で手を止めたことが無いと自嘲したリオンは、ブラザー・アーベルや顔見知りの制服警官が駆け寄ってくることに気付いて溜息を零し、殴られて口の中を切ってしまったために口内が気持ち悪いと唾を吐く。
 ふと教会へと目をやると、扉が開いていてローザやマザー・カタリーナが無事に建物内に避難できたことを教えてくれたため、安堵の溜息を吐いたその時だった。
 「リオン────!!」
 ブラザー・アーベルの声に驚き振り向こうとしたリオンは、後頭部に強い衝撃を覚え、次いで痛みと灼熱感に襲われる。
 「な・・・だ、よ、これ・・・」
 何で頭がこんなに痛く熱いのか、しかもどこからか降ってきた水を被ったようで髪が濡れて気持ちが悪いと顔を顰めたリオンは、顔を顰めた拍子に視界が傾き始めた事に気付き、あれ、と暢気な声を上げる。
 「リオン、リオン!しっかりするんだ!」
 ブラザー・アーベルの声が悲鳴混じりのように思え、一体何があった、どうしたと疑問の声を上げたつもりだったが、己の口から流れ出たのは掠れた声で呼んだ、さっきまで脳裏で優しい声を響かせてくれていた永遠の恋人の名前だけだった。
 「・・・・・・オーヴェ・・・」
 お前の言葉に従ったことに悔いは無いし間違っているとは思わない、だから褒めてくれと薄れゆく意識の中で願い、蒼白な顔で駆け寄ってくるマザー・カタリーナが己の元に辿り着く前に意識を手放してしまうのだった。

 

ganzer Stolz. | Next

 

2016.02.18
2016バレンタイン更新目指したんです。でも、あれ?どうしてこうなった・・・・・・???
続き、頑張りますっ!


Page Top