キャレラホワイトのスパイダーをいつものスペースに停めた彼は、地下駐車場から自身のクリニックがあるフロアにまで直接上がることの出来るエレベーターに乗り込んでボタンを押す。
今日は4月1日。エイプリルフールだが、お気に入りのカフェで朝食を食べながら読んだ新聞の見出しには、地元でも歴史のあるビール会社が製造するビールから人体に有害な物質が検出されたという文字が躍っていた。
一目見ただけでエイプリルフールの嘘だとウーヴェは気付いたが、周囲の声は驚きや怒りといった様々な声で、その記事が嘘だと気付いたものは何とも言えない顔で周囲の声を聞いていたのだ。
真実を伝える新聞社がこの調子なのだ、今日は一日ラジオやテレビ、ネットなどで発信される情報にはかなり気を付けないと引っかかってしまうと苦笑し、大振りのマグカップで出されたコーヒーに口を付けて思わず吐き出しそうになり、くすくすと笑った店員を見れば、エイプリルフールの嘘ですと言ってもう一つ別のマグカップを出してくれるが、そちらには彼がいつも注文するカフェオレが入っていた。
気を付けないとと思った矢先にカフェで引っかかってしまった事を思い出し、フロアに辿り着いて重厚な木で出来たドアを押し開く。
「おはようございます、ウーヴェ」
「おはよう、リア」
にっこりと満面の笑みで出迎えてくれたオルガに同じく笑みで返し、診察室に向かったウーヴェの後を着いて室内に入ったオルガに、つい先程カフェで受けたエイプリルフールの嘘についての話をする。
「あなたがエイプリルフールの嘘に引っかかるなんて想像できないわ」
「私もそうだと思っていたよ」
あまり自分を過信するものではないな。
重要な書類やロッカーがある小部屋で着替えを済ませ、診察時には必ず着用するお決まりのジャケットを片手に出て来たウーヴェに、紅茶の用意をしながらオルガが目を瞠って苦笑する。
オルガを雇うようになったのは、恋人であるリオンがこの世に存在する事を知って間もなくの頃だったが、あれから月日が流れ、彼女との間でも周囲からすれば些細なことだが当人同士にとっては重大な出来事を経験し、それでもここで働きたいと言ってくれたオルガを再度雇い入れたのだ。
その時からウーヴェは彼女の事をファーストネームで呼ぶようになり、それを許した彼女も同じように名前で呼ぶようになったのだ。
ゆったりと座れる椅子に腰を下ろし、オルガが入れてくれた絶品の紅茶を一口飲んで先程受けた悔しさも一緒に飲み下す。
「今日は一日、どこもかしこもエイプリルフールの嘘で持ちきりなんでしょうね」
「そうだな」
待合室でも時間つぶしになるような雑誌を置いているが、当然新聞も置いてある。
その内の何種類かを持ってきて広げて見せたオルガの顔を見上げたウーヴェだったが、彼女が言わんとすることを察し、同じように新聞を見て肩を竦める。
総てではないが、紙面の半分近くが本当のような嘘の話で埋め尽くされていた。
「今日一日だけですものね」
「………どこかの誰かが引っかかっていそうだな、これは」
苦笑しつつウーヴェが白い指で指し示した記事には、駅前のインビス全品無料という広告だった。
「本当に」
どこの誰とは言いませんがと、グリーンの瞳を茶目っ気たっぷりに細めたオルガに無言で肩を竦めた時、デスクの上で電話が着信を告げるランプを光らせる。
オルガのやり取りをぼんやりと聞き、今日の診察リストを出して貰おうと顔を上げると、そっと受話器が差し出されるが、見上げた彼女の表情はどう見ても笑いを堪えているものだった。
「リア?」
「…早く…出てください、ウーヴェ」
訝りつつ受話器を受け取り、バルツァーですと答えると同時にオルガが口元を手入れの行き届いた手で覆いながら肩を震わせてしまう。
『オーヴェ!新聞見たか!?』
「リオン?」
『駅前のインビスの広告!!』
「っ!!」
恋人の嬉しそうな声が受話器から響いた瞬間、珍しい事にオルガが声を上げて笑い出し、それを珍しいと思うよりも先に引っかかったのかと吹き出してしまう。
「どこかの誰かが引っかかっていそうだと、たった今リアと話をしていたところだ」
『へ!?』
ウーヴェの肩も小刻みに揺れはじめ、何だってと問い返された頃には笑いの発作に襲われてしまっていた。
『オーヴェ?笑ってないで答えてくれって』
「い、いや…あまりにもタイミングが良すぎたからな…っ」
悪いと謝る声にも笑いが混ざり、受話器の向こうが沈黙する。
「リオン?」
『……なんだよ』
若干どころか本気で機嫌を損ねた声が流れ出し、さすがに笑いをぴたりと止めたウーヴェは、今日一日新聞広告やラジオなどの記事を鵜呑みにするなと忠告をする。
『……エイプリルフール?』
「そう言うことだ」
『ふぅん…そっか』
「リオン」
『何だ?』
少しだけ明るさは増したが、それでもまだまだ機嫌を損ねている事を示す口調に苦笑し、ウーヴェの様子から笑うことを止めたオルガに合図を送ると、総てを察した彼女がそっと診察室を出て行く。
口に出さずとも理解してくれる優秀で気の利くオルガに内心感謝しつつ、デスクの端に尻を乗せ、窓の外へと視線を向ける。
「リオン」
エイプリルフールの他愛ない嘘だから許してやれとも言えば、少しだけ沈黙が流れた後、盛大な溜息と鼻を啜る音が聞こえてくる。
「どうした?」
『エイプリルフールなんて久しぶりに引っかかったなぁって思って』
引っかかったからってそこまで笑わなくても良いだろうと、上目遣いで睨んでいる事を思い起こさせる声が不満を訴えてくる。
「…悪かった」
『ホントにそう思ってるか、オーヴェ?』
「ああ」
笑いすぎたのは確かに悪かったし、お前を落ち込ませるつもりはなかったとも告げれば、再度の沈黙が流れた後、許すよと返されて肩に入っていた力が抜けていく。
エイプリルフールの嘘の広告から端を発した事だが、こんな些細なことで恋人を落ち込ませたままなど許せるはずもなく、許すとの言葉を聞いた瞬間、一瞬のうちに考え込んだ最悪の事態への一歩を踏みとどまれた事に安堵の溜息を吐く。
『オーヴェ』
「どうした?」
さっきとは打って変わった口調で名を呼ばれ、安堵感と失いたくないとの思いから目を細めて返事をすれば、何か面白いネタはないかと問われて首を傾げる。
「ネタ?」
『そう。インビスの広告に騙されたままじゃ悔しいだろう?』
だから職場で憂さ晴らしを兼ねてボスを引っかけてやると、まるで黒くて尖った尻尾が見え隠れするような声で笑われてしまい、なるべくお手柔らかにしてやれと苦笑混じりに忠告し、尻に敷いていた新聞に再度目を通す。
その時微かにノックの音が聞こえ、返事をする前にドアが開いて目礼をしたオルガが小走りにデスク前に駆け寄り、丁寧な字で書いたメモを残して踵を返していく。
『なぁ、オーヴェ、みんなをあっと驚かせるようなネタないか?』
「そうだな…自動車メーカーがバックギアが2段の8段ギアボックスを採用したと言うのはどうだ?」
『バックギアが2段で8段!?』
「ああ。エンジニアが言うには、バックで60キロは出るそうだ」
勿論これはエイプリルフールの嘘なのだがとも付け加え、ああと思い出したように声を上げれば、何だと浮かれた調子で乗ってくる。
すっかりと機嫌が治ったことを感じ取り、安堵に目を細めながら遠くに見える塔の時計がフルデジタル化するそうだと呟けば、素っ頓狂な声が返ってくる。
『はぁ!?』
「市庁舎のからくり時計もフルデジタル化になるから、24時間馬上試合を見せてくれるそうだ」
だから一度夜中の12時に見に行かないかと誘い、オルガが残していったメモを読んで苦笑したウーヴェは、低い唸り声が響いた事に小さく笑う。
『からくり時計がデジタル化なんてあり得るかよ!』
「はは。────リーオ」
『…うん、何だ、オーヴェ?』
「今日の昼食はどうする?」
『どうするって…さっきのインビスの広告を信じてたから、昼飯食い放題だ!ってみんなに言いふらしたってぇの』
まるっきりバカじゃねぇかと吐き捨てるように呟かれ、そう拗ねるなと宥めた後に抜け出せるかと問いかければ、間髪入れずにヤーと返ってくる。
「リアが何か食べさせてくれるらしいぞ」
『へ!?マジで!?』
「ああ。これは嘘じゃない」
メモに書かれていたのは、リオンを落ち込ませた事への謝罪の言葉と、お詫びに今日の昼食を奢るという一文だった。
だから彼女のことも許して欲しいとも告げれば、うんと素直な返事があり、ありがとうと秘書に代わって礼を言う。
『じゃあ昼にそっちに行く』
「ああ」
そろそろ診察の準備を始めなければならない時間になり、受話器を置こうとしたが、先程落ち込ませてしまったという事実が脳裏にがっちりと引っかかり、通話を終えようとする恋人を呼び戻すように名を呼ぶ。
「リオン」
『ん?どうした?』
「─────愛してる」
家で二人きりになったとき、狂ってしまいそうな熱に浮かされたときや、同じ思いを告げられたときにしか言わない言葉を囁いて目を伏せれば、意味の掴めない沈黙が流れた後、小さな小さな、だが満足そうな吐息とさっきよりも素直なうんが返ってくる。
「じゃあまた後でな、リオン」
『うん。また後で』
余韻を残して通話を終えた恋人の声に目を伏せたまま受話器を戻し、そっと溜息を吐いてデスクから降り立つ。
「……フラウ・オルガ、そろそろ診察を始めようか」
「分かりました。こちらが今日の診察リストになります、ドクトル・ウーヴェ」
「ありがとう」
ドクトル・ウーヴェという呼び方は普通はなかなかない呼び方かも知れなかったが、恋人が付き合う前のまだ友人だと言っていた頃、何気なく呼び始めたそれがいつしか定着してしまい、今では秘書兼受付をしてくれているリアや恋人の同僚達もするようになっていた。
仕事が始まればそこから先は例えファーストネームで呼び合う間柄であっても、けじめを付けるウーヴェに、気分はすっかりと仕事モードになっている事を示す様にオルガも表情を消してリストを差し出してくる。
受け取ったそれを捲りながら、彼女が出て行った事を気配で感じ取り、ざっと今日の診察予定を脳味噌に叩き込むと、一つ頬を叩いて自身の気分もしっかりと切り替えるのだった。
リオンと付き合い出してから使うようになったリビングのカウチソファの上、本を読むウーヴェの太腿に腹這いになって覆い被さったリオンが身動ぎし、恋人の意識を本から奪い取る。
「どうした?」
「今日は本当にエイプリルフールで騙される人が多かったなぁって」
「そうなのか?」
「何処かのスーパーでさ、キングサイズのベッドがおばあちゃんに万引きされたって通報が入って、駆けつけたらウソだったとかあったらしいぜ」
直接自分には関係がなかったから笑い話に出来るが、当事者となっていればきっと通報者を殴り飛ばしていただろう。
刑事にあるまじき物騒な事を呟きながら寝返りを打ち、手を伸ばして額に掛かる白とも銀ともつかない髪を摘んで軽く引っ張れば、痛いだろうとメガネの奥の双眸が苦笑する。
「老人が一人でキングサイズのベッドを万引きする事など不可能だろう」
「そうそう。その時点で騙されてるって気付くと思うんだけどな」
年々巧妙になっていく、エイプリルフールの嘘だが、いつかの年は何処かのスタンドがガソリンを半額にすると嘘の広告をぶち上げた為に大渋滞が起きてしまい、それを解消する為の警察の報道すらも嘘だと思われたことがあった。
「な、オーヴェ」
「何だ?」
このまま本を読み進めることが不可能だと気付いたウーヴェは、ソファに本を投げ出して己の前髪を弄ぶ手首を掴んで口を寄せてキスをする。
「────いつからフラウ・オルガをファーストネームで呼ぶようになったんだ?」
不意の質問に目を瞠り、見上げてくるロイヤルブルーの双眸がぎらりと光った事に瞬きを繰り返す。
「急に何だ」
「急でも何でも良いから。いつからなんだ?」
「話していなかったか?」
もう話をしていたと思い込んでいたと苦笑したウーヴェだったが、その苦笑を掻き消すようにリオンが腕を伸ばしてウーヴェの頭を抱え込んで抱き寄せる。
「リオンっ!」
「笑われたことよりも…オルガさんをファーストネームで呼んでる事の方がショックだった」
ウーヴェの事だから間違いなどないだろうし、上司と部下の関係から肉体関係に進むとは思えないが、教えて貰えなかったのはやはり気にくわないと、引き寄せた白い耳に強い口調で流し込み、ついでとばかりに耳朶を口に含んで軽く歯を立てる。
「っ!!」
芽生えた痛みと舐められた事で覚えた熱に身体を震わせ、言ったつもりだったと言い訳じみた事を呟くが、あっさりと聞き流されてしまうだけではなく、更に引き寄せられてリオンの厚い胸板に乗り上げてしまう。
「いつからだよ?」
日頃どちらかと言えば陽気な顔をする恋人だが、一つボタンを掛け違えただけでかなり気難しい表情を浮かべ、機嫌も一気に悪くなるのだ。
今がその時だとしっかりと悟っているウーヴェは、リオンの顔の横に腕をついて上体を支えるが、リオンの脚の間に両足を差し入れて自ら身動きを取れないような体勢になると、強い光を浮かべて煌めく至宝を愛おしげに見つめる。
「リーオ」
「…何だよ」
「リアと呼ぶのは嫌か?」
どうなんだと、くすんだ金髪の間に見え隠れする耳に口を寄せて囁けば、ふいと顔が反らされて尖った唇が視界の端に入り込む。
「…嫌じゃねぇけど…」
「教えて貰えなかったのが嫌なのか?」
「………面白くねぇ」
言葉尻を奪い取って更に返せば、尖った口から不満たらたらの言葉が流れ出す。
今日の昼、仕事を上手く抜け出せたと満面の笑みでやって来たリオンは、話題の主であるオルガと三人で昼食を食べた時は全くそんな素振りなどを見せず、ウーヴェと彼女が二人でお金を出し合って近くのインビスから有りっ丈の食べ物を買ってきたと思える量の食事に浮かれていたのだ。
その時の恋人の心中を今更ながらに思いやった時、面白く無いとの言葉で告げられた嫉妬心に気付き、安心させるように額に口づける。
「リーオ」
宥めるようにウーヴェだけが呼べる名前を呼んでじっと見つめれば、きょろきょろと左右を彷徨った双眸が諦めたように視線を重ねてくる。
「お前だけだ、リーオ」
例え彼女をファーストネームで呼んだとしても、男女の関係になる事は有り得ない。
優しいながらも断固とした意志を滲ませた声で囁き、お前だけなんだと呟きながら顔中にキスをする。
どうしようか思案するように身体の傍に置かれていた手がそっと上がり、鼻先にキスを落とすが早いか腰にしっかりと腕が回されて更に身動きが取れなくなる。
「信じてくれ。お前だけだ」
「────ごめん、オーヴェ」
嫉妬したと、頭を擡げて目を閉じるリオンに軽く額をぶつけて同じように目を閉じたウーヴェは、腰に回されていた手が移動した事に気付き、眼鏡を奪われたことに気付いて目を開ける。
「リアと呼ぶようになったのは、一度彼女を解雇した後だ」
「解雇したのか?」
「ああ」
詳しく話すのは控えるが一度解雇をした後再度雇ったと苦笑し、リオンの額に掛かる柔らかな前髪を掻き上げ、姿を見せた額にキスを一つ。
「色々あったのか?」
「ああ」
詳しくは言えないが彼女との間に問題があったが、それを解決した直後二人の関係が少し変わったとも告げ、もう一度額にキスをして顔をあげれば満足そうな溜息を吐いたリオンが寝返りを打つ。
リオンの脚の間に挟まれたまま横臥し、ソファから落ちる不安を感じて身を寄せれば、しっかりと腰を抱き寄せられて不安が掻き消える。
「…優秀だもんな、オルガさん」
「ああ。正直…問題は小さくはなかったが、彼女の存在は必要不可欠だった」
「────何か…それ以上は聞きたくねぇ。面白くねぇもん」
むすっと口を尖らせてそっぽを向くリオンに苦笑し、悪かったと素直に謝れば間髪入れずに許すと返されて目を伏せる。
「彼女を認めてくれるか?」
「うん………認めるよ」
ファーストネームで呼び合う事も認めるが、もしかするとこうして嫉妬してしまう事がまだまだあるかも知れない。その時は逃げたり背けたりせずに真正面から向き合ってくれと告げられ、驚きに目を瞠って顔を覗き込む。
嫉妬する恋人の顔など滅多に見ることはないが、これからもともに時を過ごすと言うのであれば、その言葉通りにもっともっと醜い顔を見ることもあるだろう。
そんな時ですら目を逸らさないでくれと頼まれ、当然だとの言葉の代わりにリオンの身体に腕を回してしっかりと身を寄せる。
「お前も、な」
「うん。オーヴェがどんな顔をしても…絶対に目を逸らさないで見ていてやる」
「…ああ」
何よりも確かな約束を貰った様な気持ちになり、視線を重ねてくる双眸に一つ頷いて瞼に口を寄せた後、少しだけ乾燥している唇にキスをする。
「リオン────愛してる」
「うん。俺もお前だけを…愛してる」
ベッドに比べれば遙かに狭いカウチソファに寝そべりながら互いに抱いた情を伝え合うと、どちらからともなく身を起こす。
「今日は泊まって帰っても良いよな?」
「……残念だが…エイプリルフールに恋人同士が夜を越せば別れるそうだ」
ソファから起き上がり、廊下へのドアを開けながら既に決まったことのように問われたウーヴェは、心底残念そうな表情で目を伏せて哀しげに囁きながらドアを出る。
「へ!?何だそれ!?」
そんなジンクスなどこれから打ち破ってやると拳を握ったリオンだったが、少し前を歩く恋人の細い背中が微かに揺れている事に気付き、何かに気付いたように目と口を丸くする。
「オーヴェぇ!?」
「何だ?」
肩越しに振り返った恋人のターコイズには、心の底から楽しいと言いたげな光が浮かんでいて。
「また騙したな!!」
「だから今日は気をつけろと言っただろう?」
振り返りざまにふふんと鼻先で笑われ、寝室のドアを静かに開けた恋人にぎりぎりと歯軋りをしたリオンは、ベッドの傍でガウンを脱いでパジャマ姿になろうとしている痩身にタックルを決めてベッドにその身を沈める。
「────っ!!」
「この野郎っ!!」
「こら、リオンっ!」
「うるせぇ!」
がるるるると、どこの獣だと言いたげな唸り声を放ったリオンは、拳で軽く肩を叩くウーヴェの口をキスで封じ、驚く舌を絡め取って反論をも封じ込める。
「────ん…っ!」
「………そんなジンクス、今すぐここで破ってやるからな」
目元をうっすらと赤くした恋人を見下ろし、太い笑みを唇に浮かべたリオンの肩からするりと腕が回されて抱き寄せられる。
「……ああ」
その言葉と言葉以上に思いを伝えてくれる態度をしっかりと受け止めたリオンは、たった今恋人が作り出したジンクスを打ち破る為に白い肌を好き放題に抱き、恋人の艶姿を思う存分堪能するのだった。
2010.04.02
エイプリルフールの他愛もないネタです。ちょっとだけ間に合わなかったや(とほほ)


