週に一度の休日の土曜日は久し振りにお家デートをするぞ。
右手で拳を作ってそう宣う最愛の人を、そんな目で見つめるなよと嘆かれるような冷めた目つきで見つめたのは、今日も一日己に出来る事を精一杯行い、疲労をリアが用意してくれたスイーツと紅茶で癒して力を取り戻したばかりのウーヴェだった。
力説するリオンを斜に構えた目で見つめ、本当に近しい人にしか見せない尊大さで、いつだったか同じような事を言ってなかったか、それに週に一度の休日というが、日曜日も休みだし、クリニックが休診の午後も休んでいるだろうと、お気に入りのチェアに頬杖をついて言い放ったウーヴェを、何でそんな冷たい事を言うんだよ、オーヴェのイジワル、トイフェル、悪魔と、そこまで罵るかと言いたくなる程口早に吐き捨てたリオンがジロリと睨む。
「・・・せっかくさぁ、デートしよーって誘ってるのになぁ」
「何だ、デートの誘いだったのか」
「え、どこからどう見てもお誘いだろ?」
久しぶりにデートしたいのにーと、子供のように頬を膨らませるリオンを少しだけ目付きを和らげて見つめたウーヴェは、デートの誘いは健全なものも好きだが、今はもっと大人の誘い方が良いなと、唇の端を軽く持ち上げる。
「大人の誘い方?」
「そう」
どうだと、己を試すような事を笑み交じりに囁くウーヴェの前にやってきたリオンは、チェアの肘おきに両手をつき、鼻の頭が触れ合う距離まで顔を寄せる。
「────世界一のオーヴェ、俺と一緒に土曜日にデートしない?」
デートでドライブしても良いし自宅でゆっくりのんびりしても良い、どうだと、大人というよりはやはり子供の顔が前面的に出ている声音で囁くリオンを至近で見上げたウーヴェは、世界一というのが気に入ったからデートしようかと頷き、その言葉が嘘ではない事を証明するようにリオンの尻尾を軽く掴んだ手で頭を抱き寄せる。
「────俺の太陽。土曜日に夜の顔を俺にだけ見せてくれないか?」
土曜日のデートはお前の行きたいところに行こう、家でゆっくりしたいのならそうしようと、青いピアスが嵌る耳に囁きかけると、了解の言葉が背中に回った手で返される。
「コンロ出して、チーズフォンデュをしようか」
「ヒャッホーウ!バケット買おうぜ」
デザートには今出回っているフルーツを買おうと、額と額を重ねてクスクス笑いながらデートの予定を話し合い、互いの意見を了承したと伝える代わりに小さな音を立てて唇にキスをする。
「やった、土曜日オーヴェとデートだ」
子供みたいな顔で笑うリオンに一瞬呆れそうになるが、付き合い出して様々な事件を乗り越え、結婚という公式に認められた形の家族となったが、それでもこうしてデートしようと誘い、了承すれば出会った頃と変わらない嬉しさを見せてくれることが嬉しくて、ついつい自然と笑みを浮かべてしまう。
その笑みがリオンの笑顔を更に深くさせたようで、チェアに座っているウーヴェの腕をとって立ち上がらせると、早く帰ろうと頬にキスをする。
「ああ、帰ろうか」
土曜はまだ先だが、そのデートの為に頑張ろうと笑い合いながら帰路に就くのだった。
2020.01.24までClapお礼として公開。
この頃、何か自宅デートとかが流行っていたの、かな?(マイブーム)


