「リーオ」
不意に呼ばれて声の方へと顔を向けたリオンは、ソファのカウチ部分に横臥しながら幸せそうに笑うウーヴェを発見し、どうしたと囁きかけながらソファの座面に後頭部を押し付けるように頭を仰け反らせる。
「ん?────うん。起きたら、お前がいた」
雑誌を読んでいたはずだったが、気がつけばうたた寝をしてしまっていたらしく、目が覚めたら楽しそうにテレビを見ているお前が目の前にいたんだと、付き合いが長くなってきたリオンですら数える程しか見た事のない、現実かどうかを疑いたくなるような笑みをウーヴェが浮かべて腕に頬を乗せて小さく笑い声をこぼす。
「・・・・・・お前がいた、リーオ」
夢でも一緒にいたが、現実でも一緒にいられるのは本当に幸せだとはかなげに笑うウーヴェに何も言えなかったリオンだったが、小さく掛け声を放ってウーヴェに正対するように向き直る。
「夢に俺が出ていた?」
「うん、いたな。今みたいに・・・チョコを食べていた」
「チョコの食い過ぎでお前に怒られてなかった?」
ウーヴェの顔の側に顎をついて目を細めると、睡魔が居座っているからか、いつもより幼く聞こえる舌足らずな声でウーヴェが怒られていたと笑い、やっぱり怒られていたかとリオンが暢気に返す。
「でも・・・・・・」
「ん?」
「すごく、嬉しそうにチョコを食べていた、から・・・」
怒っているのも馬鹿らしくなって怒るのをやめたらお前がチョコを食べさせてくれたと、夢と現実の区別がついていない顔でウーヴェが笑い、リオンの手がテーブルに置いたままのチョコを一欠片手に取り、きっと夢でも同じようにしていたと簡単に想像できる顔でウーヴェの口元にチョコを差し出す。
「・・・美味いか?」
「うん、少し、甘いな」
「そっか」
ビターチョコのはずだが甘かったかと笑うリオンにウーヴェも小さく笑った後、睡魔の存在を教えるようにあくびをしてしまう。
「そろそろベッドに行くか?」
「・・・お前は?」
「んー、オーヴェが行くなら一緒に行く」
「そうか」
だったら連れて行ってくれ、俺の太陽と、本当に今夜はどうしたとリオンが不安に陥りそうな程の甘えぶりを見せながら腕を小さく伸ばすウーヴェの頬にリオンが小さな音を立ててキスをする。
「今日はいい夢を見るぜ、オーヴェ」
「・・・ああ」
お前がいる現実も夢のように幸せだと笑うウーヴェをそっと抱き上げたリオンは、睡魔に負けて目を閉じようとするウーヴェの頬に再度キスをし、ついで額にもキスをする。
驚くほどの素直さを通り越した、人格が崩壊したのかと疑いたくなるようなウーヴェの様子に心配になりそうだったが、こんな風に甘えてくるのは己にだけであると熟知している為、どんな顔を見せられても愛していると囁き、それに応えるようにウーヴェが腕を伸ばしてリオンの頭を抱き寄せる。
「オーヴェ、落としちまう」
「ふふ・・・我慢してくれ、リーオ」
「陛下の仰せの通り!」
ただ幸せそうに笑うウーヴェにリオンも戯けたように返すが、ベッドにそっとウーヴェを下ろすと、コンフォーターを捲ってリオンが入りやすいようにしてくれた為、すかさずそこに潜り込む。
「・・・おやすみ、オーヴェ」
「・・・うん、お前も、おやすみ・・・」
幼い子供のような顔でお休みと呟いて穏やかな寝息を立て始めるウーヴェだったが、ああ、入院している時に何度か見た顔だと思い出したリオンは、あの時していたようにウーヴェの身体を抱きしめる。
そして、朝になってもまだ素直に甘えてくれればいいと願いつつも、これが一夜の夢のようなものだとも良くわかっている為、甘い夢を見るためにそれ以上に甘いウーヴェをしっかりと抱きしめ、一足先に眠りに落ちたウーヴェを追いかけるように目を閉じるのだった。
そんなリオンの脳裏、先ほどのウーヴェの幸せそうな笑顔と声がいつまでも響いているのだった。
2019.08.12までWebclapお礼として公開。どうしたんでしょうか、ウーヴェさん、激甘えん坊化してます(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)


