春から初夏に季節が移りゆくのを、何と無く肌で感じる程度ながらも無意識に感じ取って居たリオンは、食後のデザートにアイスが欲しいとリビングのソファの上で宣い、今その願いを叶えているんじゃないのかと、隣で食後のウイスキーを飲んでいるウーヴェに苦笑されて目を瞬かせる。
「へ?」
「アイス、食べているだろう?」
「あー、うん。食ってる。美味いぜ」
オーヴェも食うかと、スプーンにアイスを掬って突き出すリオンにウーヴェが苦笑を深めるが、珍しくそれをそのまま食べると、リオンの蒼い目が見開かれる。
「・・・なんだ」
「・・・べーつにー。いつもそうやって素直に食えば良いのになぁって思っただけー」
あ、これは口が裂けたら痛いから言っちゃおう、うんと、己の為にスプーンでアイスを掬って裂けると痛いと言った口に放り込んだリオンは、呆気にとられるウーヴェにニヤリと笑いかけ、お代わりをするかと、再度スプーンを突き出す。
「もう食わねぇの?」
「・・・」
突き出されるスプーンとリオンの顔を同じ配分で視界に収めていたウーヴェの前、食わねぇのなら俺が食うと少しだけ残念そうに呟きながらリオンが再度アイスを食べた直後、ウーヴェがグラスをテーブルに置き、その同じ手でリオンの顎をグッと掴んで固定してしまう。
「オーヴェ?」
顎を掴まれて顔を正対させられて蒼い目を瞬かせたりオンは、口の中にアイスが残っている状態でキスをされ、驚きとそれ以上の歓喜を覚えてしまう。
今日は一体どうした、何か天変地異の前触れかと疑いたくなるほどの積極性を見せるウーヴェだったが、それを見せられても驚くことはあっても嫌悪は当然無く、それどころか日頃からもっと積極的になってくれても良いのになぁと、脳味噌が本能の呟きを発した瞬間、舌の上に残っていたアイスを奪うように舌が差し入れられてスプーンとアイスのカップを放り出し、逆にウーヴェの頬を両手で挟んで逃げないように固定する。
「・・・ん・・・っ」
「・・・美味かった?」
アイスとキスのどちらが美味かったかと、互いの口内でどちらの味も満喫して離れたウーヴェに獰猛な笑みで問いかけたリオンは、手の甲で顎を伝うどちらのものかわからない唾液と混ざり合ったアイスの残滓を拭き取る様を伺うが、黙ったまま眼鏡を外した為、ウーヴェの頭に両手を回して背後に倒れこむ。
どさりとのし掛かり見下ろすウーヴェに口の端を持ち上げたリオンは、スイッチが入ったのかと囁いて目を細め、お互い様だろうと返されて見惚れるような笑みを浮かべる。
「Ach ja!」
「・・・彼方のバスタブを使おう」
「激しいのがお望み?」
「そうだな・・・お前が思う以上に、な」
見下ろすウーヴェの口から流れ出す言葉にも声にも滅多に見ない同類の色が滲んでいて、それだけでイキそうになると、ワザといやらしい笑みを浮かべたリオンは、想像以上の激しさをと宣言されて背筋を一つ震わせる。
「最高」
今このままここでヤっても良いし、バスタブでも良い、何処でもいいと、獰猛な獣に食われることに恍惚感を覚えた顔で囁くリオンの顔の側に手をついたウーヴェは、舌舐めずりをしかねない口にキスをし、バスルームに連れて行けと命じる。
「・・・・・・サイコーだなぁ」
決して逆らえない、そんな顔も好きで仕方がないと笑って起き上がったリオンは、ウーヴェを軽々と抱き上げて廊下側のバスタブに向かうのだった。
リオンの手から放り出されたアイスのカップが奇跡的にテーブルの上で横倒しになっていて、柔らかくなったアイスが何とも言えないと口をききたそうにカップの縁から溶け出し、ウーヴェが置いて汗を浮かべているウイスキーグラスにぶつかってしまうのだった。
2019.06.13
どうやらウーヴェのヤル気スイッチが入ったようです(爆)


