「………何だって?」
唐突な質問に咄嗟に答えられず、読んでいた雑誌を膝の上に下ろしたウーヴェは、カウチソファのカウチ部分に横臥しながらテレビを見ていたリオンの頭を見つめ、もう一度言ってくれと問い掛ける。
「んー…オーヴェってさ、初めてセックスしたのっていくつだ?」
「………突然どうした?」
別に聞かれることに対しての羞恥も何も無いが、いきなりどうしたんだと苦笑し、今日は首筋の後ろで束ねていないくすんだ金髪にさらりと指を通せば、何となくと上目遣いに見つめられて苦笑を深める。
「な、いくつだった?」
「そう…だな……大学に入る前だった…な」
「ふぅん。結構遅かったんだな」
苦笑混じりの言葉にそれ以外の思いを込めないでリオンが返すが、ウーヴェの返事はなく、どうしたと振り仰いで何気なく己が放った言葉が相手に与えたものを読み取ると、カウチから起き上がってウーヴェの腿の上に腹這いになる。
「どうした?」
「何でもねぇ。オーヴェの初めてはどんな人だった?」
「本当にどうしたんだ?」
「や、だから知りたくなっただけって言ってるだろ?」
俺の言葉を疑うのかと睨まれて無言で肩を竦めたウーヴェは、初めての相手は同級生だったと答えながら金髪を指で梳き、さらりと流れるそれを手に取って感触を楽しむ。
「お前の初めての相手はどんな人だったんだ?」
そこまでいうのならば信じるが、ならばお前の相手はどうだったと目を細め、同級生か年下かと聞くが、返ってきた答えにさすがに絶句してしまう。
「いいや?ホームの近くに住んでた年上のオネーサン」
胸がもうすごくて窒息しそうだったが、中の締まり具合は最高だったと、ケロリと返されて何も言えずに眉を寄せてしまうと、逆にリオンの手が伸ばされてウーヴェの前髪を指で弾く遊びを始めてしまう。
「………いくつの時だったんだ?」
「んー……いくつだっけ……」
「リオン?」
俺にだけ告白させる気かと、形の良い顎を指先で撫でていくと、思い出すからちょっと待ってくれと笑われ、ああと何かを思い出した人間特有の表情と声でさらりと過去を告げられ、今度は開いた口が塞がらなくなってしまう。
「12歳だった。うん。そうそう」
「………は?」
「へ?いや、だから、初めては12歳でそん時の相手は近所のオネーサンだったって…」
何をそんなに驚くと起き上がったリオンに、驚かないお前に驚いてしまうとウーヴェが返し、12歳だったのかともう一度問い掛け、かくんと首を傾げられてしまう。
「早いか?」
「早いだろう?……まさかとは思うが、初めて煙草を吸ったのは何歳だ?」
今二人でいる時には滅多に吸わないが、リオンの自宅にはいつも吸い殻の山が出来ているのを知っているウーヴェが問い掛け、更に思い出すように視線を上空に上げたリオンが10歳だったかなと答え、聞かれる前に答えるけど、初めてビールを飲んだのも10歳だと答えられて眉間に指を宛ててしまう。
「ゼップも一緒だったのか?」
「ラウラとやる時はいつも一緒だったっかな…?」
どうもこれ以上聞いているとロクな過去が出て来ない事に気付いたウーヴェが深々と溜息を吐き、己の恋人が聞きしに勝る悪童だった事を実感してこめかみを押さえると、さぞかしマザー・カタリーナもご苦労されたことだろうと呟いてもう一度溜息を吐く。
「そーだな…いつもマザーには迷惑ばっか掛けてたっけ」
だから今はちゃんと更生して恩返しをしていると、胸を張るには罪悪感の強く滲んだ声で囁かれて目を瞠ったウーヴェは、今度は逆にリオンの頭をそっと抱え込んで金髪に口付ける。
「リーオ」
「ん?…平気だ、オーヴェ」
「………うん」
自分達の何気ない会話に潜む、一つボタンを掛け間違えれば大喧嘩に発展しかねないナイーブな問題。その存在からどちらも目を逸らすことなくしっかりと受け止め、危険な方へと一歩を踏み出しかけた時には踏みとどまれる強さを持ちたいとどちらも強く願い、それが叶うようにと相手を抱きしめていた。
今もまたその思いから抱きしめたリオンの腕が上がってウーヴェの背中を抱き、気にするなと伝えてくれた為に無言で頷き、己が嵌めた青い石のピアスにキスをする。
過去に例えどれ程の事をしていたとしても、今は立派に更生したどころか刑事という職業にも就いている恋人が秘かな自慢で、ウーヴェはピアスの次に頬の高い場所にキスをすると、逆に唇を捉えられてしまう。
「────ん…っ」
触れるだけのキスから唾液を交換し合うようなそれに発展させ、息も絶え絶えになった頃にようやく離れると、リオンがウーヴェの腿に頭を載せてソファに寝転がる。
「な、オーヴェ」
「どうした?」
「ガキの頃に結構悪い事したけどさ……」
こんな俺でも好きかと、いつもに比べれば自信の欠片も窺えない声で問われて沈黙したウーヴェは、そっと上体を折って覆い被さるように顔を寄せて唇の両端を軽く持ち上げる。
「お前こそどうなんだ?」
俺の過去を知ってもまだ好きなのかと問い掛け、当然だと言葉ではなくぎらりと強い光を浮かべる青い眼に告白されて目を閉じる。
「なら俺も同じだ」
「そっか」
「ああ」
短い遣り取りで互いの心裡の思いを伝えあった二人は、どちらからともなく小さく笑い出すと、互いの身体に腕を回してそっと抱きしめ合う。
「………ダンケ、オーヴェ」
少しだけ何とも言えない気分になっていたと告げられ、やはり様子がおかしかった為にいきなり初体験の年齢を聞かれたのかと内心で苦笑し、役に立てたのならば良いとだけ答えて抱き寄せた金髪に頬を宛がうのだった。
唐突な質問に咄嗟に答えられず、読んでいた雑誌を膝の上に下ろしたウーヴェは、カウチソファのカウチ部分に横臥しながらテレビを見ていたリオンの頭を見つめ、もう一度言ってくれと問い掛ける。
「んー…オーヴェってさ、初めてセックスしたのっていくつだ?」
「………突然どうした?」
別に聞かれることに対しての羞恥も何も無いが、いきなりどうしたんだと苦笑し、今日は首筋の後ろで束ねていないくすんだ金髪にさらりと指を通せば、何となくと上目遣いに見つめられて苦笑を深める。
「な、いくつだった?」
「そう…だな……大学に入る前だった…な」
「ふぅん。結構遅かったんだな」
苦笑混じりの言葉にそれ以外の思いを込めないでリオンが返すが、ウーヴェの返事はなく、どうしたと振り仰いで何気なく己が放った言葉が相手に与えたものを読み取ると、カウチから起き上がってウーヴェの腿の上に腹這いになる。
「どうした?」
「何でもねぇ。オーヴェの初めてはどんな人だった?」
「本当にどうしたんだ?」
「や、だから知りたくなっただけって言ってるだろ?」
俺の言葉を疑うのかと睨まれて無言で肩を竦めたウーヴェは、初めての相手は同級生だったと答えながら金髪を指で梳き、さらりと流れるそれを手に取って感触を楽しむ。
「お前の初めての相手はどんな人だったんだ?」
そこまでいうのならば信じるが、ならばお前の相手はどうだったと目を細め、同級生か年下かと聞くが、返ってきた答えにさすがに絶句してしまう。
「いいや?ホームの近くに住んでた年上のオネーサン」
胸がもうすごくて窒息しそうだったが、中の締まり具合は最高だったと、ケロリと返されて何も言えずに眉を寄せてしまうと、逆にリオンの手が伸ばされてウーヴェの前髪を指で弾く遊びを始めてしまう。
「………いくつの時だったんだ?」
「んー……いくつだっけ……」
「リオン?」
俺にだけ告白させる気かと、形の良い顎を指先で撫でていくと、思い出すからちょっと待ってくれと笑われ、ああと何かを思い出した人間特有の表情と声でさらりと過去を告げられ、今度は開いた口が塞がらなくなってしまう。
「12歳だった。うん。そうそう」
「………は?」
「へ?いや、だから、初めては12歳でそん時の相手は近所のオネーサンだったって…」
何をそんなに驚くと起き上がったリオンに、驚かないお前に驚いてしまうとウーヴェが返し、12歳だったのかともう一度問い掛け、かくんと首を傾げられてしまう。
「早いか?」
「早いだろう?……まさかとは思うが、初めて煙草を吸ったのは何歳だ?」
今二人でいる時には滅多に吸わないが、リオンの自宅にはいつも吸い殻の山が出来ているのを知っているウーヴェが問い掛け、更に思い出すように視線を上空に上げたリオンが10歳だったかなと答え、聞かれる前に答えるけど、初めてビールを飲んだのも10歳だと答えられて眉間に指を宛ててしまう。
「ゼップも一緒だったのか?」
「ラウラとやる時はいつも一緒だったっかな…?」
どうもこれ以上聞いているとロクな過去が出て来ない事に気付いたウーヴェが深々と溜息を吐き、己の恋人が聞きしに勝る悪童だった事を実感してこめかみを押さえると、さぞかしマザー・カタリーナもご苦労されたことだろうと呟いてもう一度溜息を吐く。
「そーだな…いつもマザーには迷惑ばっか掛けてたっけ」
だから今はちゃんと更生して恩返しをしていると、胸を張るには罪悪感の強く滲んだ声で囁かれて目を瞠ったウーヴェは、今度は逆にリオンの頭をそっと抱え込んで金髪に口付ける。
「リーオ」
「ん?…平気だ、オーヴェ」
「………うん」
自分達の何気ない会話に潜む、一つボタンを掛け間違えれば大喧嘩に発展しかねないナイーブな問題。その存在からどちらも目を逸らすことなくしっかりと受け止め、危険な方へと一歩を踏み出しかけた時には踏みとどまれる強さを持ちたいとどちらも強く願い、それが叶うようにと相手を抱きしめていた。
今もまたその思いから抱きしめたリオンの腕が上がってウーヴェの背中を抱き、気にするなと伝えてくれた為に無言で頷き、己が嵌めた青い石のピアスにキスをする。
過去に例えどれ程の事をしていたとしても、今は立派に更生したどころか刑事という職業にも就いている恋人が秘かな自慢で、ウーヴェはピアスの次に頬の高い場所にキスをすると、逆に唇を捉えられてしまう。
「────ん…っ」
触れるだけのキスから唾液を交換し合うようなそれに発展させ、息も絶え絶えになった頃にようやく離れると、リオンがウーヴェの腿に頭を載せてソファに寝転がる。
「な、オーヴェ」
「どうした?」
「ガキの頃に結構悪い事したけどさ……」
こんな俺でも好きかと、いつもに比べれば自信の欠片も窺えない声で問われて沈黙したウーヴェは、そっと上体を折って覆い被さるように顔を寄せて唇の両端を軽く持ち上げる。
「お前こそどうなんだ?」
俺の過去を知ってもまだ好きなのかと問い掛け、当然だと言葉ではなくぎらりと強い光を浮かべる青い眼に告白されて目を閉じる。
「なら俺も同じだ」
「そっか」
「ああ」
短い遣り取りで互いの心裡の思いを伝えあった二人は、どちらからともなく小さく笑い出すと、互いの身体に腕を回してそっと抱きしめ合う。
「………ダンケ、オーヴェ」
少しだけ何とも言えない気分になっていたと告げられ、やはり様子がおかしかった為にいきなり初体験の年齢を聞かれたのかと内心で苦笑し、役に立てたのならば良いとだけ答えて抱き寄せた金髪に頬を宛がうのだった。
リビングの窓の下にある大きなテレビでは、無表情のキャスターが痴話喧嘩の挙げ句、道路に飛び出して車にはねられて亡くなったリオンの旧知の女性の話題を取り上げていたが、あっという間に天気予報に取って代わられるのだった。
2010/11/24-2010/12/21


