083:眩暈

Lion&Uwe

 仕事を終えたウーヴェが表立っては仕事中と全く変化はないが、内心飛び上がりたいほど浮かれながらリオンの文字通り老朽化の進んだアパートを訪れたのは、長くなった日が漸く傾き始めた頃だった。
 今日は珍しく平日の午後から休暇を取ったと、オルガと二人で話題のチャイニーズレストランで昼食を取っていた時にメールが届いたのだが、生憎ウーヴェは午後にクリニックを訪れる患者が今日に限ってひっきりなしに入っていた為、なるべく早く仕事を終えて家に行くと、目の前のオルガが思わず呆れるような表情で返信したのだ。
 そしてその際、久しぶりにリオンの家に行くのだから、せめてベッド以外に自分が座る場所を確保しておくようにと命じたのだが、それに対する返信はなかった。
 一抹の不安を抱えたままキャレラホワイトのスパイダーで恋人の元に駆けつけたウーヴェは、やけに足音が響くコンクリ製の階段をなるべく静かに、だが足早に駆け上がり、手前から2つめのドアの前に立つと数回深呼吸をする。
 仕事を終えて大急ぎで駆けつけてきた事実をリオンに見せるのはウーヴェの矜持が許さなかった。
 仕事中と同じで出来るだけ涼しい顔をしていたいと内心で苦笑し、壁のブザーを軽く押すがウンともスンとも言わなかった。
 そう言えば電池が切れていると笑う顔を思い出し、ウーヴェの家と違ってドアのノックで十分に聞こえるとも言われた事を脳裏に描いたウーヴェは、確かにそうかも知れないと納得した後、手の甲で軽くノックをする。
 「ただいま留守でーす」
 「留守の人間がどうして返事をするんだ」
 早く開けろと苦笑しつつもう一度ノックをしようとした時、ドアが軋みながら開き、隙間からくすんだ金髪と嬉しそうに細められた青い眼がぬっと姿を見せる。
 その僅かの隙間から見せられるそれに一瞬恐怖を感じ、びくっと肩を竦めたウーヴェに気付いたリオンがドアを大きく開けて両手を広げる。
 「オーヴェ!!」
 逢いたかったと叫ぶと同時にハグされてしまい、廊下とも部屋ともどちらとも取れる場所でのそれに目を白黒させていると、先程昇ってきたばかりの階段から甲高い足音が響いて来て内心かなり焦ってしまう。
 「リオンっ!」
 内心の焦りが声に滲んでしまっていたが、それを取り繕う余裕がなく、嬉しそうにハグしたまま肩に頬を押し当てる恋人の一括りにしてある髪を思い切り引っ張る。
 「んがっ!」
 「しつこいぞ」
 早く中に入れろと声を僅かに荒げたウーヴェは、恨みがましい目で睨んでくる恋人を眇めた目で睨み返し、後ろ手でドアをしめる。
 甲高い足音が廊下を通り過ぎていく音を背中で聞き、安堵の溜息を吐いたウーヴェだったが、頭を囲うように顔の横に腕を着かれて顔を上げ、見つめてくる蒼い瞳に瞬きを繰り返す。
 「オーヴェ」
 「何だ?」
 「キスよりも先に髪を引っ張るなんてひでぇ」
 口をへの字に曲げた恋人に軽く目を瞠ったウーヴェだが、万が一ハグしている所を見られてしまえばお前が気まずい思いをするんじゃないのかと視線を逸らして呟くが、確かにキスもまだだったと気付いて素直に謝罪の気持ちを口にすれば、への字が逆に持ち上がり、嬉しそうな表情で見つめられる。
 「仕事お疲れ様だったな」
 「ああ。今日は忙しかった」
 「そっか」
 「────ん」
 仕事の疲れを労いながらコツンと額と額を重ね合わせた後、やっと触れる事の出来た唇に唇を重ね、ウーヴェの鼻から小さな吐息が零れたのを確認したリオンの腕が動いてウーヴェの白とも銀ともつかない頭をそっと包む。
 「・・・は・・・っ」
 「ん・・・」
 ただいまのキスにしては長くて濃いキスをした二人はどちらからともなく離れるが、いつまでもキスしていたいとの思いを一方は顔中に、もう一方は深い静かな湖面の様な双眸にだけ浮かべて再度額を重ね合わせる。
 「腹減ってねぇか?」
 もし減ってるのなら何処かに食べに行っても良いし、デリバリでピザか何かを注文しても良いと、ウーヴェの白い頬を舐めたリオンが囁き、お前はどうなんだと同じように頬を舐められた後問い掛けられてリオンが思案する。
 「食いに行かないか?」
 「ああ、それでも構わないが・・・・・・」
 リオンの肩越しに室内を見渡したウーヴェの声が途切れると同時、今まで己をハグしていた腕が勢い良く離れて行き、あろう事か背中を見せられてしまう。
 「リオン」
 「・・・・・・な、何だ、オーヴェ?」
 「メールを見なかったのか?」
 ウーヴェが低く呟きながら一歩進めば、背中を向けたリオンが逃げるように真横に移動する。
 「あ、見た見たっ。当然見るし、消去できないように保護してあるって!」
 「あんなメールを保護するな、バカタレっ。見たのにこの有様か?ん?」
 「や、だってさぁ・・・部屋を片付けようとしたんだよ。そうしたら・・・」
 くるりと意を決したような表情で振り返り、身振り手振りを交えて語ったのは、ウーヴェが思わず目眩を覚えてしまいそうな出来事だった。
 午前で仕事を終えたリオンは、一人の身軽さからインビスで腹ごしらえをした後、いくら何でも今日は部屋を片付けないと恋人を部屋に招き入れられないと気付き、腹を括って部屋の掃除をしようと決めたのだ。
 そしてそれを実行する為に自宅に戻り、壁に自転車を立て掛けた後、半袖のポロシャツを着ていたが気分的に腕捲りをしたくなり、その勢いで部屋の片付けを始めようとした。
 その時、電池が切れている筈のブザーが奇跡的に鳴り響き、ドアを開けたリオンの前、郵便配達員が不機嫌そうに突っ立っていた。
 その不機嫌な男の手から郵便物を受け取り、確認したのが運の付きだった。
 手紙を送ってきたのは親友のゼップで、ペンギンを両手に抱えている写真も同封されていて、元気そうで良かった、薬物との戦いに今も前向きに頑張っている事を再確認して安心したら眠くなってしまった。
 その手紙をサイドテーブルに無造作に放り出したリオンは、大きな欠伸をした後ベッドに飛び乗り、気がつけばウーヴェが家にやってくる30分程前だったらしい。
 「やる気はあったんだって。でも・・・眠くなってさぁ・・・」
 ごにょごにょと口の中で言い訳をするリオンをじろりと睨み、ゼップの手紙と写真を見せろと掌を向ければ、すかさず便箋と写真が差し出される。
 その写真の端、まだ子供と思えるような小さなペンギンを両手でしっかりと抱きかかえながら必死になって働いている姿があり、リオンが抱いた想いと同じものを感じ取る。
 薬物中毒からの脱却はやはり辛く苦しいものだが、それでも前を見てしっかりと歩き出している恋人の親友の姿が嬉しくて、つい唇の両端を持ち上げる。
 「・・・元気そうだな」
 「うん、そう。何かさ、それがすげー嬉しくってさぁ」
 つい部屋の片付けをすっ飛ばしてしまったと、頭の後ろに手を充てて笑うリオンに苦笑しかけるが、ここで甘やかしてはいけないと咳払いをひとつ。
 「オーヴェ?」
 「で、俺はこの部屋のベッド以外のどこに座れば良いんだ?」
 「えー・・・と、その・・・・・・」
 ウーヴェがじろりとリオンを睨んだ後、ぐるりと部屋中を見回す。
 壁際のベッドはまだ何とか人が寝起きできる場所はあったが、部屋中に脱ぎ散らかした服が散乱し、靴もあちらこちらに転がっている上、床に置いておけばただ転がるだけのサッカーボールも文字通りころころと転がっていて、少しだけ大袈裟に言えば足の踏み場がなかった。
 そのどこに俺を座らせるつもりだと笑みを浮かべれば、青い眼がきょろきょろと左右に動いた後、何かを閃いた様に見開かれ、拳を掌に打ち付ける。
 「俺の上なんてどうだ?」
 「────帰る」
 「わー!!!待った待った・・・!帰るのナシっ!!」
 あまりと言えばあまりの言葉に一瞬目眩を覚えたウーヴェが、ふざけたことばかりを言うのならば帰るぞと踵を返すと、リオンが慌てふためいてウーヴェを引き留める。
 「ごめん、オーヴェ」
 メールを貰っていてちゃんとその通りにするつもりだったが、つい睡魔に負けてしまったと、背後から腕を回して抱き寄せ、首筋に顔を埋めてごめんと謝られ、深々と溜息を吐く。
 「・・・ゼップの元気そうな顔を見られたから許してやる」
 「ダンケ、オーヴェ」
 ありがとう、愛していると口早に囁かれ、チュッと頬にキスをされてしまえばいつまでも憤慨していられるはずもなく、もう一度溜息を吐いたウーヴェは、ベッドに腰掛けたリオンの足に遠慮がすることなく尻を載せ、驚く青い眼にふふんと小さく鼻で笑う。
 「俺の上に座れと言ったのはお前だぞ?」
 「────もちろん」
 こうして座ってくれても構わないし、何ならそのネクタイを解いて素肌を見せている時に座ってくれても構わないと、首筋に顔を寄せて囁かれ、無意識のうちに身体が震えて背筋をまるで電流か何かが走ったような痺れが駆け抜ける。
 「座り心地はどうですか、女王様?」
 「誰が女王だ、バカタレ」
 腰に腕を回されてしっかりと拘束されてしまったウーヴェだが、心とは裏腹に真逆の感情を顔に出し、そんな嫌そうな顔をしなくても良いだろうとリオンを落ち込ませるが、女王様と呼ばれて今度は正真正銘機嫌を損ねたと言うように口を尖らせ、ピアス穴がいくつも空いた耳朶を思い切り引っ張る。
 「ぃてて!」
 「バカタレっ!」
 「ごめーん、オーヴェっ!!じゃあ王子様で良いか?」
 「バカ」
 女王も王子もごめん蒙りたいし、王女やお姫様など以ての外だと、リオンの言葉の先を読み切った事を示す様に顎を上げれば、言葉に詰まったリオンの喉から奇妙な声が流れ出す。
 「じゃあ何が良いんだよ?」
 「・・・・・・そうだな・・・皇帝ならば許してやっても良いな」
 「げ」
 顎を上げてふふんと笑うウーヴェにリオンが目を瞠るが、程なくして髪を掻きむしり、確かにお前は皇帝かも知れないと笑みを浮かべる。
 「どういう意味だ?」
 「ん?そう言う意味」
 間近で笑みを浮かべあった後、互いに鼻息荒くふんと言い放ち、ウーヴェは再びリオンの耳朶引っ張り、リオンは腰に回していた腕に力を込めて引き寄せる。
 「・・・・・・ピザか何かを食べないか、リオン」
 「良いね、それ。」
 「ああ」
 好きなデリバリがあるのならばそこで注文しようと笑い、引っ張っていた耳朶を手放したウーヴェは、鼻先に1つキスをした後、リオンの足から降り立つ。
 「座ってろよ」
 「・・・また後でな」
 名残惜しそうに呟くリオンに目を細め、後で思う存分座らせてくれと囁けば、にやりと夜の色香を滲ませた笑みを間近で見せつけられる。
 その笑みにくらりと眩暈を感じたウーヴェは、蹌踉けないように何とか踏ん張り、リオンのくすんだ金髪をくしゃくしゃと掻き乱すのだった。

 

 デリバリのピザは思っていた以上に味も良く、程良く満腹になったとベッドにもたれ掛かったリオンの傍、結局はいつものようにベッドに腰掛けたウーヴェが山のように積み上げられていたシャツだのジーンズだのを丁寧に畳んでいく。
 注文したものが届くまでの時間を利用して部屋の片付けを二人で行ったのだが、やはり時間が掛けられない為、ベッド周辺の雑然としたものを一纏めにするだけで精一杯だった。
 今度収納用のボックスでも買ってきてやろうかと思案していると、膝に暖かなものが載せられたことに気付いて視線を向けたウーヴェの前、リオンがウーヴェの膝に顎を載せて目を閉じていた。
 「リオン、重いぞ」
 「ピザ美味かったか?」
 「ああ。たまにはデリバリも良いな」
 「うん。あ、そうだ。この間ジルに美味いジェラートを食わせてくれる店を教えて貰ったからさ、今度行こうぜ」
 だらりとしながら片目を開けたリオンに、ジェラートが美味しいのかと問い返したウーヴェは、普通に食事も美味いがデザートが絶品という店も捨てがたいだろうと笑われて同意する。
 「ジルベルトだったか?」
 「そう。あ、直接会ったこと無かったっけ、オーヴェ?」
 恋人の同僚達-通称愉快な仲間達-の一人で最も仲の良いジルベルトとまだ直接の面識のないウーヴェは、日頃の会話の中でも一度は必ずその名前を聞く人物に一度は会ってみたいと思っていたが、中々タイミングが合わないのかして、未だに顔を合わせた事も無ければ声を聞いたことも無かった。
 それを思い出したリオンの言葉に苦笑し、機会があればぜひ会ってみたいなと頷き、洗濯物の山も解消したことだし、そろそろ帰ると告げた途端、膝の上の頭が勢い良く持ち上がる。
 危うく顎がぶつかりそうになり、辛うじて避けた直後、今まで見えていたテレビが視界から消え去り、年季が入って汚れている天井が大きく飛び込んでくる。
 ベッドに押し倒されたのだと気付いたウーヴェが声を挙げようとするが、リオンの大きな掌が口を覆った為に言葉に詰まってしまう。
 「帰るのかよ、オーヴェ?」
 当たり前だ、明日も仕事だと掌の中に吐き捨てるが、心の奥底では真逆の思いが頭を擡げていた。
 その思いに気付かれませんようにと願いつつ、そっとメガネのフレームを撫でたウーヴェに跨るように手を着いていたリオンは、一瞬だけ目を細めた後、にやりと笑みを浮かべて顔を寄せる。
 「リオン!」
 「はいはい。明日早起きしてさ、何処かのカフェで朝飯食ってから家に帰れば良いだろ?」
 「そう言う訳には・・・!」
 別に朝帰りした所で誰に何を言われる訳ではないが、つい提案されたことに反論してしまうと、リオンの手があっという間にネクタイのノットを解いてするりと抜き取ってしまう。
 「こら、リオンっ!」
 「はいはい」
 「はいはい、じゃない!」
 ネクタイの次はドレスシャツだが、意外な事に一つ一つ丁寧にボタンを外して行く間、何とかリオンの身体の下から抜け出そうとウーヴェが藻掻くが、掛け声を発したリオンに腹に跨られてしまって息を呑む。
 「オーヴェは仕事の時はアンダーシャツ着てるよな?やっぱ着た方が良いのかな?」
 「汗を吸ってくれるからな。それよりも降りろ、重いっ!!」
 キッと目尻を吊り上げて睨むウーヴェに小さな音を立ててキスをし、いつも全身で乗りかかっても重いと言わない癖にと返したリオンは、告げられた言葉に絶句してしまった隙を突いてシャツを脱がせた手でベルトを抜き取りスラックスもぽいっとベッドの下に投げ落とす。
 さすがにこの姿で家から出る訳には行かず、肺の中を空にするような溜息をリオン目掛けて吐き出し、腹を押さえつけられると気持ち悪いから降りてくれと頭を持ち上げると、やけにすんなりと腹から降りたリオンがウーヴェと壁の間に大きな身体を割り込ませてくる。
 「落ちる・・・っ!」
 「大丈夫だって」
 ウーヴェの家のベッドとは比べものにならない狭さとスプリングの悪いベッドだが、広さがない為にどうしても密着してしまう事を実は二人とも秘かに喜んでいたが、さすがにどちらかがベッドから落ちてしまうと笑って済ませられない為、リオンが半裸に剥いたウーヴェの腰にしっかりと腕を回して抱き寄せる。
 「明日の朝飯、どこで食いたいか考えててくれよな」
 「────ケルピンスキーなんてどうだ?」
 「俺のことホントは嫌いなんだろ、オーヴェ!?」
 そんな高級ホテルで朝飯なんて食える訳ないだろ!?
 嬉しそうな顔を擦り寄せ、一晩中一緒にいられる事に浮かれ、翌朝の朝食も一緒にいられる事に舞い上がったリオンを一気に突き落とすような言葉をさらりと吐いたウーヴェは、耳元で騒がれる煩さに顔を顰め、メガネを取って物が溢れているサイドテーブルにそっと置くと、後ろ手でくすんだ金髪を撫でてくすくすと笑う。
 「冗談だ」
 「・・・ウソだ、信じられねぇ。もう信じねぇ」
 「ふぅん?」
 信じないと拗ねたように呟くリオンの腕の中で器用に身体を反転させて正対し、拗ねている事を証明する尖った唇に指先を宛がう。
 「リーオ」
 上目遣い気味に小さく名を呼べば、何事かを逡巡するように青い眼が再度左右に揺らめき、ぴたりと動きを止めた後溜息と一緒に何だという言葉が二人の間に零れ落ちる。
 「そんな冗談を言いたくなるほど好きだと言っても信じられないか?」
 「・・・・・・・・・シャイセ」
 「こら」
 「あー、もう!どうせ勝てねぇよ!あぁ、ちくしょー!」
 「リーオ」
 ウーヴェの目の前でじたばたと足掻きながら口汚く罵り始めた恋人の頬をきゅっと摘んで軽く睨めば、素直なごめんが返ってくる。
 「オーヴェ」
 「何だ?」
 「うん。俺も好き。すげー、好き」
 コツンと額をぶつけた後に破顔一笑で告げられた言葉がウーヴェの耳に流れ込んだ直後、何故かは分からないがくらくらと眩暈を覚えてしまい、気付かれないようにそっと腕を回して身を寄せる。
 もしもこれが立っていた時なら、恥ずかしい限りだが恐らくは腰か膝が砕けてしまう醜態を晒していただろう事に気付き、悔しさを唇を噛みしめて堪える。
 「明日さ、この間見つけたインビスでも良いか?」
 「・・・・・・ああ・・・お前が行きたい店で良い」
 「ん、ダンケ」
 鼻先、唇の端、顎のラインとキスを残したリオンは、ウーヴェの手が頭の後ろに回ったことに気付いて目を細め、普段は隠されている事が多い首筋をぺろりと舐めると、頭を更に引き寄せられるように手に力が入る。
 そうなってしまえばリオンの思うつぼで、手早く着ていた服を脱ぎ捨てると、ウーヴェの残っていた下着なども脱がしに掛かる。
 その作業を邪魔することも出来ずにただ為すがままにされていたウーヴェは、やっと治まった眩暈の元を探ろうとするが、そんな些細な事を考える事など許さないと言うように熱い掌が身体を撫でキスをされ、もたらされる熱と自ら生み出すそれから新たにくらくらする感覚に囚われてしまうのだった。

 

2010/07/11


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