今朝、いつもの様に起きて二人分の朝食の用意を済ませてリオンを起こしたウーヴェは、シャワーを手早く浴びて濡れた髪のままキッチンへとやって来たリオンに笑顔で誘われて目を瞬かせる。
「デート?」
「そう!結婚してからデートらしいデートしてねぇ!」
リオンがガシガシと髪を拭きながら浮かれ気分で話す言葉の意味が理解できずに眉を寄せてデートと鸚鵡返しに呟いたウーヴェは、この日曜日に手作りのサンドイッチと自分の好みにドンピシャなコーヒーとビールを持ってドライブに行っただろうと問い返すが、あんなものデートじゃねぇと返されて一つ溜息を零して先を促す。
「仕事終わって映画観たり美術館行っても良い。その後ちょっとした店でメシ食ってさ」
付き合っていた頃、主にリオンの仕事の関係で中々会う時間が取れない時もあったが、それでも休みの時や早く帰れた時は今言った事をし、どちらかの家でテレビを見て仲良くしていただろうと笑ってウーヴェの頬を軽く抓るリオンに眼鏡の下で目を見張ったウーヴェは、リオンが何を望んでいるのかを察し、あぁと無意識に嘆息する。
「そう言えばそうだな」
「だろ?で、久しぶりにデートしたいなーって思うんだけど、どうだ?」
「そう、だな・・・診察は午前中で終わるから大丈夫だな」
リオンの伸びた髪を抓られた仕返しに軽く引っ張った後、朝食を食べようとテーブルへ誘い、食後のコーヒーはあとで準備をするからと宣言して椅子を引いたリオンにウーヴェが笑顔で掌を向ける。
「どうぞ召し上がれ」
「ダンケ!」
教会の孤児院で日々を過ごしていた時には一切することのなかった食事前の祈りを、ウーヴェと付き合いだして半同棲状態になってからはリオンなりにする様になっていたが、それを今もまた簡潔に行ったリオンにウーヴェも笑顔で頷き、沢山食べてデートまで頑張って働いて来いと片目を閉じる。
「どこ行くか考えててくれよな、オーヴェ」
「そうだな・・・美術館も行きたいな」
「あ、じゃあさ、カフェでレモンタルト食っても良いか?」
朝食に絶品のスクランブルエッグと程よく焼いたベーコンをゼンメルにサンドしたリオンが大口を開けながら頬張る前に問いかけると、朝食を食べながら良く他の食べ物の話が出来るなとウーヴェに呆れられてしまう。
「ほーふぇ?」
「だから、口に物が入ったまま喋っても何を言ってるのか分からないぞ」
飲み込んでから話せと苦笑し、口の端についているパン粉を指で取って無意識にその指を舐めたウーヴェにリオンが一瞬驚いてしまうが、次いでニヤニヤと不気味な笑みを浮かべてウーヴェの眉をさっきよりも顰めさせる。
「な、何だ・・・?」
「オーヴェ、それ、無意識か?」
「は?」
一体何の事だと言う代わりにあからさまに胡乱な目で己の伴侶を見つめたウーヴェは、顔に付いている食べカスを取ってくれる時、ほぼ間違いなくその指を舐めていると教えられてターコイズ色の双眸を見開いてしまう。
「いや、そんなことは・・・」
「あるんだな、これが」
別に俺の物を取ってるだけだから良いけど、リアとかにそれをするなと、蒼い目を半分隠しながら告げられて誰がするかと少しだけ声を荒げてしまう。
「じゃあイイ。あ、オーヴェ、食わねぇのならベーコンちょうだい」
ウーヴェが一気に食欲をなくした様に肩を落とすのを尻目に、食わないのならくれとウーヴェの右側からフォークを伸ばしたリオンだったが、その手をぺしりと叩かれて眉尻を下げる。
「何だよー」
「うるさい、バカタレッ!」
「もー、図星指されたからってそんなに恥ずかしがらなくてイイだろ?」
「うるさいっ」
「はいはい」
本当に俺のダーリンは素直じゃないんだからーと、お決まりの文句を言いつつもウーヴェの手がベーコンをそっと皿に載せた事に気付いて満面の笑みを浮かべたリオンは、美味いコーヒーを淹れるからもう少し待ってくれダーリンとウーヴェの頬にキスをする。
「リーオ」
「んー?」
「今日は少し甘いコーヒーが飲みたい」
スクランブルエッグを食べてゼンメルもしっかりと食べたウーヴェがリオンにリクエストをすると、ウーヴェのコーヒーの好みを誰よりも知るリオンが職人よろしく尊大な顔で腕を組む。
「了解」
「楽しみにしている」
その間に出勤の用意をしてしまうから後は頼んだと席を立つウーヴェに慌ててリオンが朝食を平らげ、キッチンからベッドルームに向かうウーヴェの手を己の腕に回させる。
「・・・ダンケ」
「どういたしましてー」
それは、ウーヴェの足が負傷した事件が解決した時にリオンが密かに決め、結婚した時に宣言して以来実行している決まり事で、側にいる時は杖の代わりになると言うものだった。
だから今もそれを当たり前の顔で実行するリオンにウーヴェもやや躊躇いつつも当初の様な気恥ずかしさや罪悪感を少し薄れさせた顔で頷き、ベッドルームにあるバスルームへと連れて行ってもらう。
「用意できたら教えてくれよ、オーヴェ」
「ああ」
それまでにコーヒーの用意をしておくからと、ウーヴェの頬にキスを残してベッドルームを飛び出して行くリオンを鏡の中から見送ったウーヴェは、今夜のデートが言われてみれば久しぶりだと思うものの、結婚し何をするにも二人で一緒にいるのに今更デートなのかとの疑問も覚え、鏡の中の己に一つ肩を竦めてしまう。
「アイツの考えは時々良く分からないな」
誰よりも、もしかすると本人よりも理解しているリオンの思考回路が分からないと微苦笑したウーヴェだったが、絶品のコーヒーを飲むための支度をしなければと気付き、慌てて身嗜みを整えるのだった。
今日はオーヴェとデートだ、デート。何をして遊んでメシ食って仲良くしようかなーと、ウーヴェがいつもの様に結んだネクタイのノットを触りながら浮かれ調子で出勤したリオンは、義父であり上司であるレオポルドの呆れた視線を物ともせず、やらなければならない事を終え、やりたくない事はそれとなくレオポルドに回したり、同僚であるヴィルマに書類を差し出したりしていた。
その浮かれ調子が流石に目についたのか、レオポルドが決裁の書類にサインをしている時に一体何をそんなに浮かれているんだと苦い顔を見せるが、ボスも経験あるでしょうと返されて書類から顔を上げる。
「何だと?」
「ん?相談役とデートする時浮かれてるじゃないですか」
人の事は良く見えるとはよく言ったものだと感心するリオンにレオポルドが頷きそうになるが、いや、そんなに浮かれた顔をしていないぞと反論すると、リオンがラップトップから顔を上げてデスクの引き出しから何かを探し始める。
「リオン?」
「・・・ああ、あったあった」
レオポルドの立派なデスクの前に立ったリオンが突き出したのは折り畳みのミラーで、何だと眉を寄せる上司にニヤリと笑いかける。
「そんな顔をしてないってボスが言うから、鏡を見てから言えって思ったんですよ」
ハイどうぞと、他意のない笑みを浮かべるリオンに呆気にとられたレオポルドだったが、意味する事を正確に察した瞬間、リオンでも避けることのできない素早さで立ち上がってくすんだ金髪に拳を落とす。
「馬鹿者!!」
「痛いっ!!」
「うるさい!」
「まったくもー。親子そっくりなんだからなー」
今の馬鹿者やうるさいなど本当に親子でそっくりだと、朝は息子に今その親に怒鳴られてしまったリオンが不満そうに口を尖らせるが、ウーヴェに怒られたのかと問われて肩を竦める。
「怒られたってよりは照れ隠しに怒鳴ったって感じですかねー」
あの照れ屋さんぶりは一体誰に似たんだと、己の伴侶の父を見下ろしつつ問いかけたリオンは、俺だろうと威張る様に胸を張るレオポルドを一瞥した後、寝言は寝てから言えと言い放ち、己のデスクに戻って行く。
「・・・・・・」
リオンの上司を上司とも思っていない言動に最早何も言えなくなったレオポルドは、咳払いを一つして気分を切り替えると、今夜はデートかと問いかけ、決裁書類にサインを書き殴る。
「そーなんですけどねー」
リオンの歯切れの悪い言葉に書類へのサインを全て終えたレオポルドが席を立ってソファへと移動した為、仕事がひと段落ついた事をリオンも察し、手招きされて向かいに腰を下ろす。
「どうした?」
「親父、オーヴェが好きそうなレストランとか知らねぇ?」
テーブルを挟んで二人が顔を寄せるが、それはどう見ても悪戯を話し合っている幼馴染の様な雰囲気があり、書類を取りに来たヴィルマが見慣れて来たとは言えリオンの豪胆さに内心冷や汗を浮かべてしまう程だった。
そのヴィルマにコーヒーの用意を二人分頼んだレオポルドは、リオンと向き合う為にソファに座り直し、肘置きに頬杖をついて足を組む。
「お前の方が詳しいんじゃないか?」
「んー、それはそうなんだけど・・・久しぶりのデートだし、ちょっとオシャレな店に行きたいなーって」
ゲートルートが一番のお気に入りだってことは分かっているが、あの店は最早家の様なもので、デートをしている気分よりも実家に帰って来た安心感すら漂っているのだと肩を竦めるリオンにその気持ちも理解できると苦笑したレオポルドは、レストランは分からないが雰囲気の良いバーなら見つけた事を伝えると、リオンの顔に笑みが浮かぶ。
「バー?オーヴェ喜ぶな」
「ああ。今度一緒に行こうかと思っていたからそこに行ってくればどうだ?」
店の場所が美術館の近くだった為、食事もその周辺で探してからバーに行っても良いかと笑うリオンにそうだなと頷いたレオポルドは、そんなに楽しみかと、今度は呆れではなく心底疑問に思っている顏で頬づえをつくと、リオンが蒼い目を丸くしてしまうが、思わず見た者が見惚れてしまうような笑みを浮かべる。
「そりゃあ好きな人とデート出来るんだぜ」
例えそれが結婚して毎日毎晩顔を合わせる関係になったとしても、二人で出掛けて食事をし、酒を飲みほろ酔いのまま自宅に戻って仲を深める為にスキンシップをするのだ、楽しいに決まっていると、太古の昔からの法則だと言いたげな顔で頷くリオンに意外にも感心してしまったレオポルドは、己の息子がそこまで思われていること、また同じように思っている事に気付くと、二人が乗り越えて来た痛ましい出来事もこのリオンとだからこそ乗り越えられたのだろうと、あの事件の直後にも思った事を改めて思ってしまう。
「親父もちょっと酔っ払ったムッティとエッチするの、好きだったんじゃねぇの?」
「な・・・!!」
だが、感心してしまう気持ちを一気に吹き飛ばすような事をリオンが呟き、蒼い目をまるでシュトレンのような形に変化させた為、今度も握った拳を素早くリオンの頭に押し付ける。
「痛い痛いイタイっ!!暴力反対!!」
「うるさい!」
感心して損したと怒鳴るレオポルドに勝手に感心して勝手に呆れて怒鳴るなよとリオンが言い放ち、コーヒーを運んで来たヴィルマを呆然とその場に立ち尽くさせてしまう様な言い合いを繰り広げてしまうのだった。
控え目な照明にグラスの縁が微かに光り、中の琥珀がゆらりと揺れる。
その揺れを楽しむ様に見つめていたウーヴェは、隣から聞こえてくる穏やかな声に顔を向け、カシューナッツを矯めつ眇めつしているリオンに気付いてどうしたと問いかける。
「んー、うん。美味しいな、これ」
「そうだな」
まだあるから食べればどうだと、リオンの前にナッツが入った皿をそっと押しやると、リオンが身体を半ばウーヴェへと向き直る。
「どうした?」
「うん・・・久しぶりにデートできて嬉しかった」
「そうか?」
「うん、そう。・・・昔さ、オーヴェに好きな人がいるって相談したことあったよなぁ」
いつだったか、付き合い始める前の、友人以上恋人未満の不確かな関係の頃、こうして今日の様に飲みに出かけていた時、リオンが不意に好きな人がいるが、ずっとその人のことを考えてしまうのだと相談したのだ。
そう言えばそんなこともあったと当時を懐かしみながら目を細めたウーヴェは、あの日と同じように好きすぎてどうしようと思うと告白され、リオンと向き合うように肩を引く。
「リーオ?」
「うん・・・今もさ、すげー好き。どうしようかなーって位、お前が好き」
好きなどという言葉では言い表せない程好きだし愛していると、バーテンダーにも聞こえない程の小声で告白したリオンは、蒼い目を細めつつ恥ずかしいなと、全くそう思っていない顔で笑みを浮かべるが、ウーヴェのターコイズ色の双眸が左右に泳いだのを見て気恥ずかしい思いをさせてしまったと胸の内で詫びる。
だが、その詫びが終わるか終わらないかの頃にウーヴェが眼鏡をそっと外したかと思うと、今の言葉を己の中に収めるために目を閉じ、ゆっくりと瞼を持ち上げた後、ほかの誰にも真似の出来ない笑顔でリオンを見つめ返す。
「ダンケ・・・俺の太陽」
お前の告白は何年経っても嬉しいが、その思いに応え続けられる自分でありたいと、強いが激しくはない意志をリオンではなく自らに言い聞かせるように囁くウーヴェにリオンの鼓動が早くなる。
「・・・オーヴェ」
「何だ」
「うん・・・」
今すぐキスしたいと、流石にここではそれをする訳にいかないとわかっているが我慢出来ないと眉を寄せるリオンに溜息をひとつ落としたウーヴェは、グラスの中に残っていたバーボンを一気に飲み干すと、ついでのようにリオンの前にあったラフロイグのロックも飲み干す。
「オーヴェ?」
「・・・タクシーを呼んでもらえないだろうか」
訝るリオンに答えずに少し離れた所でグラスを磨いていたバーテンダーにタクシーの手配を頼んだウーヴェは、彼が背中を向けている事を確認すると、驚くリオンの頬に手を宛てがい、薄く開く唇に素早くキスをする。
「────!!」
「続きは帰ってから、だな」
気持ちは痛いほど分かるからもう少しだけ堪えてくれと、額と額を合わせて艶然と囁くと、ウーヴェの意思と己のそれを重ね合わせたリオンの手がウーヴェの項をひと撫でする。
「・・・こら」
「へへ・・・タクシー早く来ねぇかな」
バーテンダーが呼んでくれたタクシーで家に帰ろう、そして二人で思う存分抱き合おうと囁くリオンに悪戯な笑みで頷き返したウーヴェは、支払いを済ませ、また今度ゆっくりと来る事、父とも来ようと思うとも告げてバーテンダーに軽く会釈をし、程なくしてやってきたタクシーに二人で乗り込み、自宅に帰り着くまでの間、後部シートで運転手に見えないように気を付けつつも繋いだ手を離さないのだった。
自宅のあるフロアに到着した瞬間、リオンがウーヴェを抱き上げたため、いつもの様に気恥ずかしさから一度はリオンを睨むものの、先程艶然と告げられた告白を思い出し、悪戯をするようにリオンのピアスが嵌る耳朶にキスをする。
「オーヴェ、待てって」
「・・・ん?何もしてないぞ」
玄関の鍵を器用に開けながらくすぐったそうに首を竦めるリオンの耳に再度キスをしたウーヴェは、玄関ポーチで戸締りを確認すると同時にベッドルームではなくリオンの部屋―ウーヴェにとっての天国―に向かう事に気付き、リオンの首に腕を回して甘えるように身を寄せる。
「こーのイタズラダーリン!」
「こらっ!!」
古いパイプベッドに半ば放り出されたウーヴェが上体を起こそうとするが、すかさずリオンが身体を囲うように手をついてウーヴェにのしかかったため、重いと思ってもいない言葉を投げかける。
「重い!」
「もうすぐ気持ちよくなるって」
「〜〜〜!!」
ウーヴェの言葉を右から左に流すようにリオンが首筋に顔を寄せて逆にそこを舐めると、ウーヴェの全身が粟立つ。
「こ、ら・・・っ!」
「はいはーい。素直じゃないお前も好きだけど、素直なお前はもっと好きっていつも言ってるだろ?」
だから素直になりなさーいと、戯けた風を装いながらも双眸だけは真剣さに染めながらリオンが囁くと、ウーヴェの身体から力が抜ける代わりに、そっと持ち上がった手がリオンの頭を抱くように回される。
「・・・リーオ・・・俺の、太陽・・・」
「オーヴェ、好き」
さっきも告白したが、本当にいつもいつまでもお前が好きという気持ちが抑えられないと、可笑しなほど好きで仕方がないと自嘲するリオンの頭を両腕で抱きしめたウーヴェは、さっきも言ったが、その想いにいつも応えられる自分でありたいと囁くと、己の頭を抱きしめてくれる腕を掴んでシーツにそっと押し付けたリオンがウーヴェの真っ直ぐに見つめる目を見下ろして唇を重ねる。
「・・・ん」
「オーヴェ、好き」
「ああ・・・俺も、だ」
だからその気持ちをあの頃のように確かめようと囁きあい、どちらからともなく互いの服の下に手を差し入れるが、リオンが何かに気付いてベッドを飛び降り、ウーヴェが僅かに不満を覚えた目でリオンの背中を追いかける。
「リオン?」
「・・・ブラインド、閉めるの忘れてた」
最上階のアパート、外から見られることなど無いとウーヴェが若干呆れるが、リオンがブラインドを下ろしつつ顔だけを振り向ける。
「・・・月が出てる」
たとえ月であっても今のお前を見せたく無いと、独占欲丸出しの言葉にウーヴェが目を瞬かせるが、服を脱ぎながら戻って来るリオンを手招きすると、俺もお前を見せたく無いとピアスの嵌る耳に囁きかける。
ブラインドを下ろし電気も付けない暗い部屋で互いの温もりと息遣いだけで存在を確かめるようにキスをした二人だったが、息が上がるようなキスへと変化させた頃にはどちらも裸になっていて、いつも以上に敏感になっているウーヴェの肌を堪能するように、ベッドの軋む音とウーヴェが挙げる声に煽られるようにいつも以上に激しく抱きあうのだった。
いつもと同じようで何かが違う時間が白熱の瞬間とともに終わり、どちらも声を出すことが出来ずにいたが、互いの汗ばむ身体に腕を回して離れることが出来ないでいた。
好きとの気持ちを確認する為に抱き合うなど、付き合い始めた頃ならば分かるが、一体何をがっついていたんだと、冷静さを取り戻した頭が苦笑するが、それをぐっと押し殺したウーヴェがいつものようにリオンの腕を己の枕がわりにし、リオンも快くそれを引き受ける。
「・・・リーオ」
「んー?」
「うん。・・・今日のデート、楽しかったな」
「うん」
久し振りに仕事終わりに待ち合わせをし、新しい店で食事をしてその後も静かな穏やかな時間を過ごせたことは本当に心身のリフレッシュになったと笑うウーヴェのこめかみにキスをしたリオンは、俺も同じだと返して枕になっている手でしっとりと汗ばむ髪を撫でて再度キスをする。
「おやすみ、オーヴェ」
「ああ・・・おやすみ、リオン」
明日もお互いに仕事だが、今日のお礼に美味しい朝食を作ってやると返してキスも返すと、リオンの蒼い双眸が嬉しそうに細められる。
その顔を間近で見られる幸せに改めて気付いたウーヴェは、寝返りを打ってわざと背中を向けると、寄り添うように背後から抱きしめられる。
揺るがない安心感と幸福感に包まれ、物理的な温もりも感じた身体が一瞬で眠気を訴えた為、小さく欠伸をして目を閉じる。
背後から聞こえて来る穏やかな寝息に釣られるようにウーヴェも眠りに落ちるのだった。
ブラインドの細い隙間から滑り込んだ月光が、床を照らす前に恥ずかしそうに霧散してしまうのだった。
2019.03.18
えーと、いつものなかよしを目指してみました(;´・_・`)ゞ


