068:柔肌

Lion&Uwe

 女とはまた違う肌理を持つ肌を撫でると、熱の籠もった吐息が流れだし、ぞくりと背筋を震わせてしまう。
 女のように柔らかな肉で受け入れてはくれないが、しなやかな強さと細かい肌理で強く優しく受け入れてくれる肌にむしゃぶりつくように顔を寄せて吸い付くと、びくりと肌が揺れ、己の身体の下で白い肢体がふるりと震える。
 生物学上の弱点ではなく過去への扉を開く鍵にもなるそこを、震えを宥めるように舐めてうなじに口を押し当てると、宥めたはずの震えが更に強くなって白い身体を巡っていく。
 さざ波のように震えが伝わった後の身体を捩ろうとするのを押さえ込み、もう一度耳朶に口を寄せると、今度は震える吐息が肌に降りかかり、次いで髪の中に手が差し入れられたことに気付いて痩躯を抱き寄せると、片手が肩胛骨の形を確かめるように下りていく。
 背中を抱く手の温もりが、こうしてベッドで抱き合う時よりも高くなっていることから、自分だけではなく恋人も快感を享受し始めていることに気付き、一緒に気持ちよくなろうと耳朶を口に含みつつ囁き、肩胛骨を下から上に撫でられる。
 痛みや快感に強い恋人だが、一緒に快楽に身を沈めようと誘えば躊躇いながらも乗ってくれる為、後は二人で何も考えられない白熱の瞬間を迎えようとも囁き、了承を得ると脳味噌が一気にスパークしたように何も考えられなくなってしまう。
 ごめんと伝える代わりに顎に鼻の頭に頬の高い場所にキスをし、電流が走ったように震える身体に目を細めて身体を起こすと、白い膝の裏に腕を通してグッと胸に付くように押しつける。
 柔らかさを持たない身体でその姿勢は窮屈なはずだったが、短く小さな声を零しただけで不満の色は見せずに受け入れてくれる恋人に感謝のキスをしたかったが、本能が先走ってしまい、窮屈な姿勢を更に窮屈なものにさせ、短く息を飲む音を遠くで聞きながら、初めてセックスをするティーンのようにただがむしゃらに身体を寄せて押さえつける。
 それでも苦痛の呻き声も挙げずに受け入れ受け止めてくれる強くて優しい肌に己の存在を刻みつけたくて、抱えた膝の内側を強く吸い上げて跡を残すと震える切なげな吐息がシーツに染みこんでいく。
 その吐息をもっと落とさせたくて、柔らかな内腿にも跡を残すだけではもの足りずに軽く歯を立てるとさすがに痛みの声が小さく上がり、宥めるキスを同じ場所にして許しを乞うと、シーツを掴んでいた手がそっと上がって腿に添えられる。
 その手に手を重ねて今みたいなキスをしないことを誓い、抱えていた足をそっと下ろすと同時に腰を掴んで身体を反転させる。
 顔の傍でシーツを握って次に来る衝撃と快感を堪えるように目を閉じる頬にキスをし、少し汗の滲む白い背中にもキスをすると、濃い色のシーツに一際映える白っぽい髪がぱさりと揺れる。
 白い背中をうなじから腰骨の辺りまでくまなく愛撫しつつ自分たちの関係では必要不可欠なジェルを準備し、待ち構えている場所に塗り込めるとびくんと背中が撓む。
 己の指で舌で白い肢体が跳ねる様を見ているだけで全身の血が集結しそうになるが、それを堪えながら少しでも楽に受け入れられるように指を使って解していく。
 そして自分だけが把握している快感のポイントを刺激し、腰が揺れるのを見計らいながら今度は指の代わりに自身をゆっくりと挿入していくと、その動きにあわせて背中が撓み、奥まで入りきると同時に満足と快感に震える吐息が握りしめられたシーツの傍に落とされる。
 ゆっくりと大きく動けば吐き出される息も同じくゆっくりだが、動きを速くすれば同じように呼吸も速くなり、シーツを握る手に力が籠もる。
 その手に手を重ね、汗の浮く背中にキスをしながら腰を押しつけると、顎を引いてきつく目を閉じる横顔が見える。
 女のように柔軟ではなく、いくら痩身とはいえ男の肉体を持つ恋人だが、こうして抱き合っていると、まるで自分の為だけにこの肌を用意してくれていたような愚かな錯覚に陥ってしまう。
 くだらない事を考えている、そう己の脳味噌が冷笑した時、シーツを掴んでいた手が開いて何かを探すようにシーツの上を滑ったことに気付き、手を組むように指の間に指を差し入れると、ぎゅっと手が閉じられて顔の傍に引き寄せられる。
 引き寄せた手に顔を寄せる恋人の頬にキスをし、組んだ指を口元に押しやると意図を察したらしく、ちらりと赤い舌が見えて指を舐める。
 子犬や子猫がミルクを舐めるように動く舌がもたらす快感に背筋を震わせ、その震えが伝わるように腰を押しつけてその動きを止めさせてしまうが、続けてくれと伝える代わりに手を押しつけると同じように続けてくれる。
 いつも一緒にいる時やこうして抱き合っている時に思いを口に出さなくても察してくれる恋人が愛おしくて、耳朶に口を寄せて後は何も考えずに自分だけを感じてくれと囁くと、重ねて組んでいた手がくるりと引っ繰り返って掌が重なり合った為、組んだ手はそのままで空いた手で腰を掴んで引き上げる。
 そうして後はただ二人で同じ快楽の海で溺れる為に激しく腰を打ち付け、堪えきれない嬌声を聞いて更に声を挙げさせる為に手を前に回すと、手と腰を使って恋人を快感の頂点へと押しやり、自らも後を追いかけるのだった。

 

 ぐったりとする白い背中にキスをし、その背中を覆うように身を寄せると、俯いたままの顔が限界まで振り返って汗ばむ手も背後に伸ばされる。
 その手を掴んで今度は自らの口元に引き寄せて口付けると、安堵に目が細められ、その手で頭をしっかりと抱き寄せられる。
 女とは違うが女以上に柔らかに感じる肌で抱き寄せ受け止めてくれる恋人にキスをし、今日も満足した事を溜息で伝え、ゆっくりと後ろ手で頭を撫でられるのだった。

 

2012.08.05-09.04


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